セッション情報 シンポジウム4「自己免疫性肝胆膵疾患診療の問題点」

タイトル S4-06:

MRI拡散強調画像による自己免疫性膵炎と通常型膵癌の比較検討

演者 永松 秀康(大分赤十字病院 肝胆膵内科)
共同演者 成田 竜一(大分赤十字病院 肝胆膵内科), 福田 昌英(大分赤十字病院 消化器内科), 都甲 和美(大分赤十字病院 消化器内科), 柳井 優香(大分赤十字病院 消化器内科), 占部 正喜(大分赤十字病院 消化器内科), 高橋 健(大分赤十字病院 消化器内科), 上尾 哲也(大分赤十字病院 消化器内科), 石田 哲也(大分赤十字病院 消化器内科), 福澤 謙吾(大分赤十字病院 外科), 若杉 健三(大分赤十字病院 外科), 米増 博敏(大分赤十字病院 病理診断科)
抄録 【緒言】日常臨床において、自己免疫性膵炎(以下AIP)と通常型膵癌(以下PC)の鑑別が困難な症例を時々経験する。AIPはステロイドへの反応が良好なことは周知の事実であり、投与前後の画像所見に関する研究もなされている。一方で、PCのステロイド投与後の画像所見に関する詳細な報告は少ない。今回我々は、MRI拡散強調画像における拡散程度を見かけの拡散係数として定量化したapparent diffusion coefficient(以下ADC)を用いて、AIPとPCの比較検討を行った。一般的に、ADC値は低値を示すほど拡散性が低く、細胞密度が高いと考えられている。低値であれば、炎症や悪性腫瘍の可能性が考慮され、AIPとPCの鑑別に有用である可能性が示唆される。【対象及び解析】AIP13名中MRIを施行した10名とPC28名を対象とした。MRI装置は、SIEMENS社製のMAGNETOM Avento 1.5Tを用い、自由呼吸下single shot spin-echoで拡散強調画像は撮像した。AIPとPCにおける病変部と正常膵実質のADC値を測定し、2群間で統計学的解析を行った。【結果】AIP,PC両群間で病変部のADC値に統計学的有意差はなかったが、AIP群でより低値を示した。また、AIP群では、病変部のADC値は全例で正常膵実質値より低値を示したが、PC群では、2例で正常膵実質値より高値を示した。この2例は、当初AIPの診断でステロイドが投与された既往のある症例であった。【考察と結語】症例数が十分ではないが、PCでは、ステロイド投与の反応がAIPとは異なる症例が存在することが判明した。今後の症例集積により、MRI拡散強調画像を用いたADC値はAIPとPCの鑑別に活用できることが示唆された。
索引用語 MRI拡散強調画像, ADC値