共同演者 |
星野 訓一(浦添総合病院 消化器内科), 小橋川 嘉泉(浦添総合病院 消化器内科), 薮谷 亨(浦添総合病院 消化器内科), 松川 しのぶ(浦添総合病院 消化器内科), 仲村 将泉(浦添総合病院 消化器内科), 内間 庸文(浦添総合病院 消化器内科), 前城 達次(琉球大学医学部 第一内科), 金城 福則(琉球大学医学部付属病院 光学診療部) |
抄録 |
【目的】Genotype A急性B型肝炎の1例を若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】40歳、男性。【主訴】倦怠感、下痢。【現病歴】1週間前より倦怠感を自覚。1日前に下痢が出現し当院受診。黄疸著明で精査加療目的で入院。【臨床所見】意識清明、貧血なし、黄疸あり、肝腫大触知、羽ばたき振戦なし、腹水なし、四肢浮腫なし。【検査所見】T-Bil6.7mg/dl,D-Bil5.6mg/dl AST1123U/l,ALT2739U/l,ALP346U/l,γGTP161U/l,HBs抗原陽性、HBs抗体陰性,IgM-HBc抗体強陽性, HBVDNA(RT-PCR) 5.2Log-c/ml, Genotype A、HCV抗体陰性、HIV抗体陰性。他の肝炎ウイルス、自己免疫性肝疾患の血清学的マーカー抗体は陰性、画像で閉塞性黄疸の所見なし。【臨床経過】急性B型肝炎と診断。入院後、肝庇護剤投与を開始し、B肝炎ウイルス薬治療はせずとも、肝機能は改善し、全身状態良好で第13病日に退院。感染経路は発症の3ヶ月前にMSM(Men who have sex with men)の友人や不特定の女性との性交渉があり、いずれかと考えられた。【考察】B型肝炎ウイルスは本邦ではGenotype Cが主である。近年の報告ではGenotype Aの割合が増加していると言われており、特に都市部では顕著である。これは成人の水平感染が増加していることが原因と考えられている。genotype AのB型肝炎ウイルスの慢性化率は10%といわれ、他のgenotypeの慢性化率約1~2%と比較し、高率で、またウイルス血症の遷延化率も高いという報告がある。 |