セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専62:膵原発巨大脂肪肉腫の1例 |
演者 | 古閑 悠輝(熊本大学大学院消化器外科) |
共同演者 | 橋本 大輔(熊本大学大学院消化器外科), 糸山 明莉(熊本大学大学院消化器外科), 江藤 二男(熊本大学大学院消化器外科), 今井 克憲(熊本大学大学院消化器外科), 新田 英利(熊本大学大学院消化器外科), 林 洋光(熊本大学大学院消化器外科), 生田 義明(熊本大学大学院消化器外科), 近本 亮(熊本大学大学院消化器外科), 石河 隆敏(熊本大学大学院消化器外科), 別府 透(熊本大学大学院消化器外科DELIMITER熊本大学医学部附属病院消化器癌集学的治療学), 馬場 秀夫(熊本大学大学院消化器外科) |
抄録 | 【はじめに】脂肪肉腫は悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)の一種で、脂肪細胞に似た腫瘍細胞が増殖するものである。中年~高齢者の四肢、ついで後腹膜領域に好発する。後腹膜領域の脂肪肉腫は緩徐に増大し、かなり大きくなった後に症状が出現し診断される。今回我々は、膵原発の巨大脂肪肉腫の切除例を経験した。【症例】24歳男性。腹部膨満感が出現し徐々に進行したため精査された。腹部造影CTで境界明瞭な乏血性の25×17×11cmの巨大腫瘤を認めた。腹部MRIから腫瘤は多くの脂肪成分から構成されており、各種腫瘍マーカーは陰性であったことから後腹膜原発の脂肪肉腫と診断し手術を施行した。開腹すると25×15×13cmの表面平滑、弾性高硬の腫瘤を認めた。腫瘍は後腹膜から網嚢腔内を占拠するように存在し、腹側頭側に圧排された膵体部と連続性を認めた。En-blockに膵中央部分切除および腫瘍摘出術を施行した。尾側膵は胃膵吻合を行なった。術後病理組織では脂肪肉腫(myxoid type)であり、切除断端は陰性であった。膵実質との連続性があることから、手術所見と総合して膵原発脂肪肉腫と診断した。術後化学療法は施行せず、経過観察を行った。初回手術から44か月経過し、腹部造影CTで左腎動静脈近傍に4×3cmの腫瘤を認めた。内部均一で造影効果に乏しく、脂肪肉腫の再発と診断し腫瘍摘出術を施行した。癒着は経度で左腎動静脈とも腫瘍被膜を損傷することなく剥離可能であった。術後病理組織検査で脂肪肉腫(myxoid type)再発と診断された。切除断端は陰性であった。【考察】脂肪肉腫は組織学的にはwell-differentiated, myxoid, round cell, pleomorphic, dediffrentiated typeの5型があり、myxoid typeが最も頻度が高い。後腹膜領域の脂肪肉腫は増大してから発見されることから四肢に発生するものより一般に予後不良である。治療は根治的切除が基本的戦略である。【まとめ】若年発症の巨大膵原発脂肪肉腫に対して根治的切除を行い、長期生存を得た症例を報告した。 |
索引用語 | 脂肪肉腫, 膵 |