セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専09:

出血を契機にカプセル内視鏡で発見された空腸原発成人T細胞白血病リンパ腫の1例

演者 萱嶋 善行(福岡大学消化器内科)
共同演者 久能 宣昭(福岡大学消化器内科), 塚本 真仁(福岡大学消化器内科), 池田 憲治(福岡大学消化器内科), 阿部 光市(福岡大学消化器内科), 石橋 英樹(福岡大学消化器内科), 渡邉 隆(福岡大学消化器内科), 冨岡 禎隆(福岡大学消化器内科), 山口 真三志(福岡大学消化器内科), 江口 浩一(福岡大学消化器内科), 青柳 邦彦(福岡大学消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学消化器内科), 二村 聡(福岡大学病理部)
抄録 症例は70歳代女性。2012年12月より黒色便を契機に近医受診し、貧血(Hb 7.9 g/dl)を指摘された。上部および下部消化管内視鏡検査にて、明らかな出血源を同定できず、当科紹介受診。当科入院後、カプセル小腸内視鏡検査にて空腸に出血を伴う潰瘍性病変を認めた。経口的ダブルバルーン小腸内視鏡検査にて、トライツ靭帯から20cm肛門側に著明な管腔の狭小化を伴った全周性不整形潰瘍性病変を認め、病変の口側に丈の低い粘膜下腫瘍様形態を認めた。さらに、その肛門側5cmの部位にも表面平滑な不整形隆起を伴う2/3周を占める不整形潰瘍性病変を認めた。腹部造影CT検査では、上部小腸領域に腸管の壁肥厚を認め、その近傍に1cm以下の腸間膜リンパ節を散見した。病変の生検病理検査にて間質に中型から大型の異形リンパ球がびまん性に浸潤し、免疫染色でCD3、CD4、CD25が陽性、CD8、CD20が陰性であった。血液検査にて、可溶性IL-2R 4278 U/ml(122~496 U/ml)、HTLV-1抗体陽性を認め、以上より成人T細胞白血病リンパ腫と診断された。小腸の閉塞予防と化学療法による腸管穿孔を回避するため手術を施行した。開腹時、小腸にびまん性に腫瘍が浸潤していたため空腸空腸バイパス術となった。術後化学療法開始し、現在1コース施行中である。今回、空腸原発成人T細胞白血病リンパ腫の1例を経験した。若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 小腸, 成人T細胞リンパ腫