セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 104:

腸管出血性大腸菌O157感染に溶血性尿毒症症候群を合併した1例

演者 梶本 展明(大分厚生連鶴見病院)
共同演者 永井 敬之(大分厚生連鶴見病院), 川原 義成(大分厚生連鶴見病院), 和氣 良仁(大分厚生連鶴見病院), 首藤 充孝(大分厚生連鶴見病院), 安部 高志(大分厚生連鶴見病院), 中嶋 宏(大分厚生連鶴見病院), 大河原 均(大分厚生連鶴見病院)
抄録 【症例】73歳,女性. 2012年12月10日に鹿肉を生で食し, 2日後より下腹部痛と血性下痢が出現したため, 12月13日に当院入院となった. 既往歴は慢性B型肝炎. 家族歴,生活歴に特記事項なし. 入院時の血液検査ではWBC 9860/μl, plate 27.2万/μl, CRP4.23mg/dl. CT検査にて上行結腸から横行結腸を主体に浮腫状肥厚と周囲の脂肪織濃度上昇を認めた. 直腸鏡では直腸からS状結腸に発赤と浮腫状の粘膜を認め, 感染性腸炎と診断して,抗生剤と補液を開始した. 12月16日より下肢の脱力と乏尿が出現した. 血液検査では, WBC 27620/μl, plate 9.3万/μl, CRP15.41mg/dl, BUN 80.9mg/dl, Cr2.29mg/dlと高度の炎症所見と腎機能障害と血小板数の低下を認めた.腹部CTでは, 全結腸の浮腫状変化, 周囲脂肪識濃度上昇と腹水貯留を認めた.トロンボモジュリンとγグロブリン製剤を開始した.翌日より意識障害と痙攣が出現し, 痙攣による呼吸抑制も認めたため気管内挿管を施行しCHDFも開始した. 便培養より腸管出血性大腸菌O157が検出された. 臨床症状より溶血性尿毒症症候群(HUS)に脳症を併発していると診断し, 血漿交換療法を開始した. 計5回施行し, 意識障害や呼吸抑制は徐々に軽快した. 2013年1月5日よりCHDFからHDに変更した. 1月21日より経口摂取開始し, 全身状態の改善とともに腎機能も回復し, 2月28日にHDから離脱した. 3月8日にリハビリ目的のため転院となった.【結語】腸管出血性大腸菌O157感染にHUSを合併した1例を経験した. 高齢者にHUSを合併すると予後は不良であるが, 本症例は後遺症なく軽快したため報告する.
索引用語 感染性腸炎, O157