セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 157:

集学的治療を行った原発性小腸癌の一例

演者 赤星 慎一(労働者健康福祉機構 熊本労災病院外科)
共同演者 清住 雄希(労働者健康福祉機構 熊本労災病院外科), 清田 礼孝(労働者健康福祉機構 熊本労災病院外科), 吉田 泰(労働者健康福祉機構 熊本労災病院外科), 井上 克彦(労働者健康福祉機構 熊本労災病院外科), 堀野 敬(労働者健康福祉機構 熊本労災病院外科)
抄録 【緒言】原発性小腸癌は比較的まれな疾患である。また症状に乏しく、スクリーニング検査も容易ではない。発見された時点で進行癌であることが多く、予後不良とされている。治療に関しても一定の見解がない。今回我々は原発性小腸癌に対し、集学的治療を行った一例を経験したので報告する。【症例】55歳の女性。既往には子宮全摘術以外に特記すべきことはない。持続する嘔吐を主訴に平成22年5月下旬当院紹介となった。上下部消化管内視鏡では異常所見認めなかった。腹部CTでは左卵巣腫瘤以外に特記すべき所見を認めなかった。一旦は症状改善したが、イレウス症状再燃したため、再度上部消化管内視鏡を施行し、Treiz靭帯を超えた上部空腸に狭窄を伴う全周性の2型腫瘍を認め、生検で腺癌の診断となった。経口摂取困難であり、平成22年7月手術(空腸部分切除術、左卵巣摘除術)を施行した。【経過】左卵巣腫瘤は腹膜播種であった。術後S-1による補助化学療法を施行したが、術後6カ月で右卵巣に播種を認め、平成23年2月右卵巣摘除術を施行した。その後、CT上腹膜播種巣や肺転移が出現し、XELOXによる化学療法を開始したが、末梢神経障害のため、FOLFIRIへ変更した。しかし薬剤性肺障害が出現したため、FOLFIRIは断念し、末梢神経障害改善後XELOXを再開した。その後、L-OHPによるアレルギー症状出現し、Xeloda及びアバスチンによる加療を開始した。その後PDとなり、現在EGFR阻害剤を使用し、病勢コントロールできており、生存中である。【考察】原発性小腸癌は稀な疾患であり、今後も詳細な症例報告の積み重ねが重要であると考えられる。腹膜播種を伴って発見され、集学的治療を行った原発性小腸癌の一例を経験したので、本症例について若干の文献的な考察を加え報告する。
索引用語 小腸癌, 集学的治療