セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 144:

バルーン型チューブ式胃瘻チューブのBall Valve Syndromeにより十二指腸穿孔をきたした1例

演者 馬場 真二(朝倉医師会病院消化器内科)
共同演者 鈴木 稔(朝倉医師会病院外科), 末次 理成(朝倉医師会病院消化器内科), 矢野 徹(朝倉医師会病院消化器内科), 田口 順(朝倉医師会病院消化器内科), 梶原 雅彦(朝倉医師会病院消化器内科), 石井 邦英(朝倉医師会病院消化器内科), 上野 隆登(朝倉医師会病院消化器内科), 白濱  靖久(朝倉医師会病院外科), 真栄城 兼誉(朝倉医師会病院外科), 今村  真大(朝倉医師会病院外科), 篠崎 広嗣(朝倉医師会病院外科), 島 一郎(朝倉医師会病院外科), 辻 義明(朝倉医師会病院外科), 佐田 道夫(久留米大学病院医学部内科学講座消化器内科部門)
抄録 症例: 82歳女性。主訴: 胃液様嘔吐、胃瘻チューブ刺入部周囲のびらん。現病歴: 脳梗塞後遺症のため平成18年胃瘻造設術施行され, 以後老健施設でバルーン式胃瘻チューブからの経管栄養を受けていた. 平成22年5月17日より胃液様嘔吐を認め, 胃瘻チューブ刺入部周囲からも腸液の逆流と、周囲の皮膚びらんを認めるようになる。 平成22年5月20日近医で血液検査施行され, 著明な白血球増加を指摘。精査加療目的で同日当院紹介入院となる。入院時理学所見では上腹部を中心に筋性防御を認めた。腹部CT検査で胃瘻チューブの十二指腸球部への迷入が疑われ、同部位に腹水とfree airを認めた。胃瘻チューブからの造影では, 十二指腸下行脚より肛門側は造影されたが, それより口側はバルーンにより完全閉塞しており, 全く造影されなかった. バルーン固定水を少量deflateすると, 球部と胃瘻バルーンの間隙が, 鋳型様に造影され, 球部からの造影剤リークを認めた。十二指腸穿孔による腹膜炎と診断し緊急手術が施行される。術中所見では十二指腸前壁に穿孔を認め, 大網充填術が施行される。穿孔の原因としては、留置されていた胃瘻チューブ先端バルーンが、蠕動運動によりバルーンの位置異常をきたし(Ball Valve Syndrome)、十二指腸球部に迷入嵌頓, 同部の完全閉塞を来たし, その結果圧迫による十二指腸穿孔を発症したものと思われる。種々の原因で胃瘻造設されているが、本症例のようにチューブ先端の位置異常をきたすことがあり、造設後の管理が重要である。胃瘻造設時急性期消化管穿孔は報告例を認めるが, 本症例のように胃瘻チューブ先端バルーンの十二指腸球部への嵌頓による遅発性穿孔例の報告例は稀であり, 貴重な症例と思われ報告を行う。
索引用語 胃瘻, ボールバルブ症候群