セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 025:

小腸壁内血腫の一例

演者 西嶋 健一(原三信病院)
共同演者 中野 佳余子(原三信病院), 府川 恭子(原三信病院), 山田 隆史(原三信病院), 茶圓 智人(原三信病院), 兼城 三由紀(原三信病院), 中村 典資(原三信病院), 松坂 浩史(原三信病院), 野口 賢一(原三信病院), 永瀬 章二(原三信病院), 千々岩 芳春(原三信病院)
抄録 症例は、69歳男性。陳旧性脳梗塞、慢性心房細動にて低容量アスピリン、ワーファリン 3mg/日内服治療中であった。平成25年1月初旬より食欲不振と頻回の嘔吐が出現し、1月7日に当院受診。来院時、嘔気症状を認めるが、腹痛や下血はなく、バイタルも安定していた。血液検査では、Hb 11.6g/dlと小球性貧血があり、BUN・Creの上昇と、PT-INRのと著名な延長(6.44)を認めた。腹部単純Xp検査で明らかな二ボー像は認めなかった。腹部CT検査を施行したところ、上部空腸に数十cmにわたって全周性の壁肥厚所見があり、同部での通過障害と、また、腹腔内には高吸収の腹水貯留を認め、腹腔内出血が疑われた。上部消化管内視鏡検査を実施し、十二指腸の粘膜下に暗紫色の壁内血腫が点在していたが、明らかな腸管内への出血やびらん・潰瘍は認めなかった。ゾンデ法による小腸X線造影検査では、トライツ靭帯を超えて上部空腸に15cmにわたる全周性の腸管浮腫と管腔狭小化を認めた。以上より、小腸粘膜下出血による貧血とそれに伴う腸管浮腫・狭小化による通過障害を来したと考えた。FFP・ワーファリン拮抗薬(ビタミンK)投与を行い、絶食補液管理にて保存的に経過を観たところ、PT-INRは正常化し、貧血の進行もなく、嘔気症状の速やかな改善を認めた。第4病日より食事を再開したが、症状増悪はなく、第9病日に造影CT検査にて、空腸の壁肥厚は改善しており、第15病日に退院となった。以後、貧血の進行はなく、当院外来で経過観察中である。今回,小腸壁内血腫の一例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 小腸壁内血腫, 粘膜下出血