セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 173:

慢性膵炎確診例への進展が観察し得た自己免疫性膵炎の1例

演者 木原 康之(北九州総合病院)
共同演者 黒瀬 龍彦(北九州総合病院), 赤嶺 摩依(北九州総合病院), 藤村 彰(北九州総合病院)
抄録 【症例】78歳、女性。2型糖尿病に対して前医で経口血糖降下薬で治療されていたが、2010年6月血糖が増悪し、膵癌が疑われ、画像検査が行われた結果、膵頭部から体部にかけて膵が腫大し、辺縁は平滑化しており、造影早期相で増強効果が不良となる膵全体を取り囲むrim状構造が認められたことから紹介された。ERCP検査で膵頭部から体部にかけて膵管は限局性に不均一に狭細化し、それより上流の膵管は軽度拡張していたが、総胆管、肝内胆管に狭窄、拡張は認められなかった。IgG4高値であり、自己免疫性膵炎と診断し、プレドニゾロン(PSL)治療(30mg/日)が開始された。開始2週後の腹部CTでは治療前に認められていた膵の腫大は消失し、全体に萎縮していたが、膵の石灰化は認められなかった。その後、PSLは減量し、6ヶ月後に終了した。PSL終了9ヶ月後の2011年10月に血糖値の増悪、IgG、IgG4の上昇がみられ、2012年1月、肝胆道系酵素および血清ビリルビンが高値となったことから、自己免疫性膵炎の再燃と診断し、PSL 30mg/日で治療を開始した。2011年11月の腹部CTで膵体部に膵の石灰化が認められたが、膵管拡張、膵腫大はみられなかった。PSLは漸減し、2013年2月現在、4mgで維持療法を行っている。2013年2月の腹部CTでは膵全体にびまん性に石灰化が認められ、短期間に膵石の増加が認められた。自己免疫性膵炎が慢性膵炎に進展した症例の報告がみられるが、今回、PSL治療中の自己免疫性膵炎患者で、比較的短期間に膵石の形成を確認し得た稀な症例を経験したので、文献的考察を含めて報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, 膵石