セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専60:

膵頭部癌による総胆管狭窄に対し経胆嚢管的に胆管メタリックステントを挿入した一例

演者 伊波 悠吾(北九州総合病院 総合外科)
共同演者 村山 良太(北九州総合病院 総合外科), 黒田 宏昭(北九州総合病院 総合外科), 佐古 達彦(北九州総合病院 総合外科), 坂本 喜彦(北九州総合病院 総合外科), 黒瀬 龍彦(北九州総合病院 総合内科), 永田 直幹(北九州総合病院 総合外科)
抄録 【症例】高血圧で他院通院中の83歳女性。2012年○月×日、1ヶ月続く食欲不振を認め、かかりつけ医を受診した。血液検査にて肝機能異常、ビリルビン値の上昇を認め、精査目的に当院外科を受診した。【身体所見】胸部:心音,呼吸音正常 腹部:soft 右季肋部に腫瘤を触知,圧痛なし【血液検査所見】T-bil4.02mg/dl,D-bil3.23mg/dl,AST 195IU/dl,ALT 331IU/dl,CEA22.1ng/ml,CA19-9 726.4U/ml,SPAN-1 72.2U/ml【腹部造影CT】25mm×25mmの造影効果に乏しい腫瘍が膵頭部に存在し、門脈、上腸間膜動脈との境界は不明瞭であった。胆嚢腫大、総胆管拡張を認めた。肝内に多発する結節を認め、肝転移が疑われた。【入院後経過】膵頭部癌、多発肝転移、総胆管狭窄の診断で入院となった。減黄目的に経皮経肝胆管ドレナージ術(PTCD)を試みたが、肝内胆管の拡張が不良であり施行できなかった。そのため、経皮経肝胆嚢ドレナージ術(PTGBD)による減黄を行った。ビリルビン値は術後5日目に正常化した。膵頭部癌は多発肝転移・血管浸潤が疑われ、切除不能と判断し、gemcitabineによる抗癌剤治療(1000mg/body/week)を開始した。抗癌剤治療と並行して経乳頭的総胆管ステント留置術を試みたが、総胆管の狭窄が強く施行できなかった。そのためPTGBDチューブ経由で内瘻化チューブを総胆管狭窄部に留置し、胆管メタリックステントに変更した。術後経過は良好であった。現在は退院し、外来での抗癌剤治療を継続しているが、血液検査ではビリルビン値上昇は認めていない。【まとめ】胆膵領域癌患者はその経過中に胆道閉塞による黄疸を発症する。そのような病態に対して狭窄部にメタリックステントを留置することで黄疸、ADLの改善を図るが、経皮的(PTCD経由)もしくは経乳頭的に留置するのが一般的である。いずれも選択ができなかった場合には経胆嚢管的な留置を施行するが、その手技は一定しておらず、報告も少ない。今回我々は膵頭部癌による総胆管悪性狭窄に対して経胆嚢管的に胆管メタリックステントを留置し、若干の文献的考察を含めてこれを報告する。
索引用語 胆管ステント, 総胆管狭窄