セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研25:FOLFIRI+Bevacizumab併用療法中に高アンモニア血症を認めた切除不能結腸癌の1例 |
演者 | 山下 慶子(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科) |
共同演者 | 普久原 朝史(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 星野 訓一(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 近藤 章之(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 松川 しのぶ(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 薮谷 亨(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 仲村 将泉(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 小橋川 嘉泉(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 仲吉 朝邦(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 内間 庸文(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 金城 福則(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部) |
抄録 | 症例は68歳,女性.主訴は意識障害.現病歴:2012年3月下旬に腹痛にて救急外来受診.上行結腸癌による結腸閉塞と診断.造影CTで左腎癌も指摘され,肺転移も認めた.結腸閉塞に対しては大腸ステントを留置し,2012年5月に右半結腸切除術,左腎摘出術を施行した.術中の所見で腹膜播種を認めた.最終診断は上行結腸癌,SEN1(2/18)H0P1M1(PLU) stageIVとなった.腎癌はT1aN0であった.肺転移に関しては,腎癌がT1aで小さく,遠隔転移が少ないであろうと判断し,結腸癌による転移と判断した.6月よりIRIS+BEV療法(S1:80mg/sqm,CPT-11:150mg/sqm,BEV7.5mg/Kg)を開始した.Cre0.98mg/dl,eGFR48と低値であったため,S-1は1段階減量し,100mg/Bodyで投与した.1コース中にG3の下痢,G3の好中球減少症があり,入院加療を要した.S-1を2週間服薬するのが,困難とのことで次コースよりFOLFIRI+BEV療法に変更した.血液毒性を危惧し,5FUの急速静注はなし.CPT-11を125mg/sqmに減量した.5FUの持続静注は2400mg/sqmで行った.3コースのDay3の深夜より嘔吐,呼びかけに反応しない等の意識障害を認め,翌朝に外来受診.血清アンモニア314μg/dlと高値.羽ばたき振戦も認め,高アンモニア血症による意識障害と診断し,入院加療となった.経過:分枝鎖アミノ酸製剤を点滴静注施行後,すぐに意識は清明となった.翌日のアンモニアも33μg/dlと低下を認めた.原因としてはFOLFIRI療法に使用した5FUによるものと考えた.その後は,5FU持続静注を半分量に減量し,高アンモニア血症をくり返すことなく,外来化学療法を継続できている.考察:5FU は,投与量の80~90% が肝臓のDPD 酵素により代謝され,5- DHFUを経て,FUPAに分解される.FUPAはFBALと二酸化炭素とアンモニアに分解される. 5FU の投与は,最終的には過剰なアンモニア処理を生体に負荷することになる.本症例は左腎臓摘出後でもあり,腎機能低下を認めたことが,高アンモニア血症を誘発したと考えられた. |
索引用語 | 5FU, 高アンモニア血症 |