セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 123:

胆嚢空腸吻合術後に発症した総胆管結石症2例の検討

演者 佐々木 隆光(福岡大学医学部外科学講座消化器外科)
共同演者 新屋 智志(福岡大学医学部外科学講座消化器外科), 加藤 大祐(福岡大学医学部外科学講座消化器外科), 中島 亮(福岡大学医学部外科学講座消化器外科), 三宅 徹(福岡大学医学部外科学講座消化器外科), 吉田 陽一郎(福岡大学医学部外科学講座消化器外科), 武野 慎祐(福岡大学医学部外科学講座消化器外科), 山下 裕一(福岡大学医学部外科学講座消化器外科)
抄録 今回我々は、胆嚢空腸吻合術後に生じた総胆管結石症を2例経験したので報告する。症例1、80歳男性、32年前胃潰瘍に対して幽門側胃切除術(B-II再建)が施行されている。6年前、胆嚢結石に対して開腹胆嚢摘出術が試みられたが、高度の胆嚢炎のため、胆嚢空腸吻合術を施行された。その後経過観察されていたが、肝機能障害を指摘され紹介受診し、総胆管結石の診断で経皮経胆嚢的内視鏡下砕石術を行い完全切石した。結石は9mmの脂肪酸カルシウム結石であった。しかし、3年後の総胆管結石の再発を認め、再び内視鏡下に切石した。結石は同様に脂肪酸カルシウム結石であった。症例2、70歳男性、15年前胃癌に対して胃亜全摘切除術が施行された。その際、肝十二指腸間膜リンパ節再発による閉塞性黄疸が懸念され、胆嚢空腸術が付加されている。術後化学療法が行われ無再発で経過していたが、肝機能異常を認めたため、近医より紹介受診となった。総胆管結石による閉塞性黄疸の診断で胆嚢・挙上切除術、胆管切開、T-tubeドレナージが施行した。結石は35mmの脂肪酸カルシウム結石であった胆嚢空腸吻合術に総胆管結石を生じた2例はいずれも脂肪酸カルシウムの成分を有する結石であった。また、胆嚢空腸吻合を残した症例1においては早期に総胆管結石が再発した。脂肪酸カルシウム結石は、胆汁中のレシチンと消化管内のアミラーセの結合により生じるといわれている。胆嚢空腸吻合術の長期予後には、結石形成を念頭に置く必要があると思われる。
索引用語 総胆管結石, 胆嚢空腸吻合術