セッション情報 シンポジウム5「ウイルス性肝炎の最近の治療」

タイトル S5-06:

当科におけるPEG-IFN/Ribavirin/Telaprevir 3剤併用療法の現況

演者 大重 彰彦(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 熊谷 公太郎(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 伊集院 翔(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 大野 香織(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 豊倉 恵理子(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 椨 一晃(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 小田 耕平(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 今中 大(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 馬渡 誠一(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 玉井 努(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 宇都 浩文(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 眞(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【背景・目的】1型高ウイルス量のC型慢性肝炎に対する3剤併用療法が承認され、その有効性は明らかになりつつある。今回我々は、当科における3剤併用療法の現況について検討した。【対象・方法】当科において、HCV genotype 1、高ウイルス量(HCV-RNA>5logIU/ml)の症例に対して3剤併用療法を導入した42例を対象とし、下記の項目について検討した。1)臨床背景、2)HCV消失率(前治療効果別・IL28B遺伝子多型別・ITPA遺伝子多型別)、3)主な有害事象の頻度【結果】1) 平均年齢57.6歳、男性:女性=20例:22例、初回:再燃:無効=23例:9例:10例、テラプレビルの投与量は2250mg:1500mg:1000mg = 12例:28例:2例であった。宿主因子としてはIL28B TT:TG/GG (n=41) = 24例:17例、ITPA CC:CA/AA (n=32) = 22例:10例、ウイルス因子としてはISDR (wild/intermediate/mutant/mix/判定不能)(n = 40) = 8例:11例:2例:17例:2例、コア蛋白変異AA70 (wild/mutant/判定不能)(n=40) = 27例:11例:2例であった。2) 42例中、治療開始から24週以上観察できている症例は35例で、うち10例は中止しており、完遂率は71%(25/35)、全体のHCV陰性化率は4週目で82.5%、12週目で90.6%、治療終了時点で95.7%、SVR4は85.7%であった。SVR4は前治療効果別では初回例が87.5%、再燃例が100%、無効例が75.0%、IL28B遺伝子多型別ではTTで100%、TG/GGで57.1%、ITPA遺伝子多型別ではCCで90.9%、CA/AAで75.0%であった。3) 主な有害事象は皮膚症状が45%(19例)、貧血が52%(22例)、腎機能障害(eGFR<50ml/min/1.73m2)が24%(10例)といずれも高頻度にみられた。【考察】3剤併用療法による早期の抗ウイルス効果は全体的に良好であり、特に前治療再燃例、IL28B遺伝子多型がTTの症例は積極的に治療介入すべきと考える。一方で皮膚症状、貧血、腎機能障害などの有害事象の頻度は高く、注意が必要である。
索引用語 C型肝炎, テラプレビル