共同演者 |
松垣 諭(社会医療法人共愛会戸畑共立病院消化器病センター), 久原 研二郎(社会医療法人共愛会戸畑共立病院消化器病センター), 岸 昌廣(社会医療法人共愛会戸畑共立病院消化器病センター), 寺部 寛哉(社会医療法人共愛会戸畑共立病院消化器病センター), 酒見 亮介(社会医療法人共愛会戸畑共立病院消化器病センター), 石原 裕士(社会医療法人共愛会戸畑共立病院消化器病センター), 森光 洋介(社会医療法人共愛会戸畑共立病院病理部), 宗 祐人(社会医療法人共愛会戸畑共立病院消化器病センター), 久保 保彦(社会医療法人共愛会戸畑共立病院消化器病センター), 下河辺 正行(社会医療法人共愛会戸畑共立病院消化器病センター), 佐田 道夫(久留米大学病院内科学講座消化器部門) |
抄録 |
【症例】75歳男性【既往歴】平成15年 前立腺肥大症 慢性腎不全【現病歴】平成15年2月、前立腺肥大症に伴う腎後性腎不全となり他院で入院加療歴あり(詳細不明). 退院後は定期受診されていたが途中で自己中断した. 平成23年4月頃より食欲低下と倦怠感を認めて当院救急外来を受診した. 採血でBUN 142.0mg/dl Crea 13.3mg/dl K 8.4mmol/lであり緊急透析を導入した. その後、利尿を認めて透析から離脱し退院となった。当院腎臓内科で経過観察されていたが保存的治療に抵抗し, 食指低下倦怠感著明となったため再度血液透析導入目的にて7月20日に入院加療となる. 入院経過観察中に肝機能異常を認めたため消化器内科に紹介となった. 【現象】身長 154cm 体重 46kg, 意識清明, 体温 37.7℃, 血圧 139/75, 脈拍 90/min, 眼瞼結膜 貧血あり, 眼球結膜 黄疸 なし, 呼吸音・心音問題なし, 腹部所見 肝脾腫なし【入院時採血データー】WBC 2280/dl, Hb 8.5g/dl, Ht 28%, PLT 15.1×104/μl, TP 7.2g/dl, alb 2.2g/dl, T.B. 0.2mg/dl, AST 52U/l, ALT 27U/l, ALP 563U/l, γ-GTP 92 U/l, LDH 212U/l, BUN 18.6mg/dl, Crea 4.4mg/dl, Na 137mmol/l, K 3.0 mmol/l, 104 mmol/l, HCV-Ab(-), HBs Ag(-), 抗核抗体 80倍【経過】入院時より発熱・倦怠感・食欲不振を認めた。熱源不明だが何らかの感染症を疑い抗生剤を投与したが改善しなかった. 肝機能の増悪を認め, 肝生検を検討したが腹水貯留を認めたため経過観察した. 発熱や肝障害の原因を何らかの自己免疫疾患と考え第21病日よりPSL 15mg開始した. 第25病日の採血にてIgG4 187mg/dlと高値であった. PSL投与後は肝機能改善と解熱を認めた. 腹水の改善を認めて第36病日に肝生検を施行した. 門脈域のinterface hepatitisは比較的軽度ではあるが形質細胞が目立つ領域を認め, IgG4の免疫染色にてIgG4陽性形質細胞5~10/HFPを認めた. 自己免疫性肝炎に似た病理像でありIgG4関連自己免疫性肝炎を疑った。【考察】IgG4関連自己免疫性肝炎の肝生検組織に特異的な所見はなく、更なる症例の積み重ねが必要と考えられる。 |