セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 170:

術前診断に難渋し腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術を施行したIPMN併存膵癌の1例

演者 秋山 泰樹(産業医科大学 第一外科)
共同演者 森 泰寿(産業医科大学 第一外科), 田村 利尚(産業医科大学 第一外科), 佐藤 典宏(産業医科大学 第一外科), 柴尾 和徳(産業医科大学 第一外科), 日暮 愛一郎(産業医科大学 第一外科), 山口 幸二(産業医科大学 第一外科)
抄録 【始めに】膵管内乳頭粘液性腫瘍( intraductal papillary mucinous neoplasm : IPMN )は約3~9%に通常型膵癌を合併すると言われている。今回、我々は腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術を施行したIPMN併存膵癌を経験したので報告する。【症例】85歳男性。20年前に胃癌に対し幽門側胃切除術及び胆嚢摘出術を施行された。今回、腹壁瘢痕ヘルニアにて当科に紹介となった際に画像で膵頭部の嚢胞性病変を指摘された。CTで、膵頭部位に約20mm程度の嚢胞性病変を認め、内部に充実性の病変も認めた。超音波内視鏡検査でも同様に嚢胞性病変及び充実性病変を認めたが、その他に併存膵癌を疑う所見は認めなかった。ERCPでは主膵管の拡張は認めるもののやはり膵癌を疑うような膵管の不整像は認めなかった。この際に施行した洗浄細胞診でadenocarcinomaが検出された。以上より非浸潤性IPMCの術前診断に対し手術を行うこととした。高齢であり術式は腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術を施行した。術後病理にて嚢胞性病変はIPMAと診断されたが、その近傍に中分化型の通常型膵癌を認め両者には明らかな移行像はなくIPMA併存膵癌と診断した。【結語】IPMNには通常型膵癌が合併することは知られておりIPMNの罹患患者は膵癌のハイリスクグループとして診療にあたることが肝要と考えられる。今回、我々は術前診断に難渋し腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術を施行したIPMN併存膵癌の1例を経験したので若干の文献的考察も踏まえ報告する。
索引用語 IPMN, 膵癌