セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研52:

肝原発神経内分泌癌の一例

演者 岡村 卓真(長崎大学病院 消火器内科)
共同演者 庄司 寛之(長崎大学病院 消火器内科), 塩沢 健(長崎大学病院 消火器内科), 塩田 純也(長崎大学病院 消火器内科), 福田 浩子(長崎大学病院 消火器内科), 卜部 繁俊(長崎大学病院 消火器内科), 橋口 慶一(長崎大学病院 消火器内科), 松島 加代子(長崎大学病院 消火器内科), 南 ひとみ(長崎大学病院 消火器内科), 本田 琢也(長崎大学病院 消火器内科), 赤澤 祐子(長崎大学病院 消火器内科), 山口 直之(長崎大学病院 消火器内科), 大仁田 賢(長崎大学病院 消火器内科), 磯本 一(長崎大学病院 消火器内科), 竹島 史直(長崎大学病院 消火器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院 消火器内科)
抄録 症例は52歳、女性。持続的な腹痛・背部痛が出現し近医を受診、採血にて肝機能異常を指摘されたが経過観察となっていた。2ヶ月後に再診した際の採血にて黄疸・低栄養状態を認め、腹部単純CTにて肝門部腫瘍による閉塞性黄疸を疑われたため、精査加療目的に当院消化器外科に紹介となった。当院来院時の採血ではT.Bil、PIVKAIIの上昇を認めたが、CEAおよびCA19-9、AFPは正常範囲内であった。腹部造影CTでは肝門部に辺縁が造影され内部が不均一な腫瘤を認め、左管内胆管の拡張が認められた。MRCPでは左右肝内胆管の泣き別れの所見が認められた。PET-CTでも、CT・MRIと同部に集積を認めた。以上より、術前診断は肝門部胆管癌と考えられ、拡大左葉切除術及び肝外胆管切除術、胆道再建術が施行された。手術標本の病理学的検査の結果、診断は神経内分泌癌(Neuroendocrine carcinoma;NEC G3)であった。術中迅速病理学的検査にて断端が陽性であったことから化学療法の方針とし当科紹介となった。フォローアップの腹部CTにて腫瘍の遺残や傍大動脈リンパ節転移の出現が確認された。当科転科後、カルボプラチンとエトポシドによる化学療法を1クール施行し、Grade4の血球減少を認めたが、G-CSF投与にて改善した。2クール目以降は近医にて継続する方針にて当科退院となった。 本症例は全身スクリーニングの結果、他部位に原発を思わせる病変は認めず、肝原発の神経内分泌癌と思われた。肝原発の神経内分泌癌は非常に稀であり、動静脈系・門脈・胆道系への浸潤傾向が非常に強くリンパ節転移や血行性転移も高頻度で見られると言われている。治療法は根治的外科手術、化学療法や放射線療法が試みられているが、一定の見解は得られていない。今回、我々は比較的稀と思われる肝原発神経内分泌癌の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 神経内分泌癌, 肝原発