セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 109:

門脈腫瘍栓を伴う混合型肝癌が疑われた胆管炎の一例

演者 立石 昌樹(九州医療センター 肝胆膵外科)
共同演者 高見 裕子(九州医療センター 肝胆膵外科), 龍 知記(九州医療センター 肝胆膵外科), 和田 幸之(九州医療センター 肝胆膵外科), 才津 秀樹(九州医療センター 肝胆膵外科), 境 昌宏(同 放射線科), 安森 宏太郎(同 放射線科), 桃崎 征也(同 病理)
抄録 門脈腫瘍栓を伴う混合型肝癌と術前診断した胆管炎の一例を経験したので報告する。症例は64歳男性。脳梗塞発症し、近医加療中、38℃の発熱と肝酵素の上昇を認め精査。肝腫瘍を指摘され当科紹介となった。紹介時の血液生化学検査においてAST/ALT 33/64 IU/l, γ-GTP 111 IU/l, ALP 482 IU/l, CRP 0.93mg/dlと軽度の肝胆道系酵素上昇と炎症所見を認めた。腫瘍マーカーはCEA, CA19-9, AFP, PIVKA-II, DUPAN-2, Span-1すべて正常範囲内であった。腹部超音波検査において肝後下区域(S6)に30mmの不整形低エコー腫瘤を認め、また門脈後枝に腫瘍栓を疑った。同日のMRIでS6に30×17mm、紡錘形、T1W1等信号、T2W1淡い高信号、遅延相で淡く増強され、肝細胞相高信号、DWI高信号の腫瘤を認めた。また門脈後枝分岐部まで続くfilling defectを認めた。一週間後の術前CTにおいても門脈後枝に閉塞を認め、肝実質にはこれに伴う早期実質濃染がみられた。腫瘤はCT上はやや不明瞭で、また22×14mmと若干縮小傾向を認めた。発熱のエピソードと、縮小・不明瞭化を認めたことから炎症性偽腫瘍等も念頭においたが、門脈腫瘍栓を伴う混合型肝癌を第一に考え、肝後区域切除術を施行した。切除標本において、画像上腫瘤としてdetectされた部位に不整形な白色調変化を認めたが、明らかな腫瘍性病変とは言い難く、病理所見上、線維化・形質細胞浸潤・出血とヘモジデリン沈着を認めるのみで悪性所見は得られなかった。同様に門脈にも炎症性の狭窄を認めるのみで、診断は、胆管炎となった。
索引用語 胆管炎, 門脈閉塞