セッション情報 シンポジウム2「炎症性腸疾患診療の現状」

タイトル S2-06:

当院における潰瘍性大腸炎難治例に対する内科的治療の現況

演者 小野 陽平(慈愛会 今村病院 消化器内科DELIMITER鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 大井  秀久(慈愛会 今村病院 消化器内科), 宮田 生弥子(慈愛会 今村病院 消化器内科DELIMITER鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 鮫島 洋一(慈愛会 今村病院 消化器内科DELIMITER鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 水流 弘文(慈愛会 今村病院 消化器内科), 徳元 攻(慈愛会 今村病院 消化器内科), 河野 裕一(慈愛会 今村病院 消化器内科), 牧野 智礼(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 小田 耕平(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 小牧 祐雅(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 佐々木 文郷(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 上村 修司(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 瀬戸山 仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 船川 慶太(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 藤田 浩(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 沼田 政嗣(鹿児島大学病院 光学医療診療部), 宇都 浩文(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【背景】潰瘍性大腸炎(UC)に対しては従来5-ASA製剤、ステロイド剤が治療の中心であったが、近年免疫調節薬、生物学的製剤等の治療が行われるようになり、一定の効果を上げている。【目的】当院におけるUC症例に対する内科的治療の有効性をレトロスペクティブに検討する。【対象と方法】当院で加療中のUC患者264例のうち、2008年9月以降にプレドニゾロン(PSL)強力静注(33例)と、シクロスポリン(CyA)持続静注(5例)、タクロリムス(Tac)内服(11例)、インフリキシマブ(IFX)静注(7例)(以下、新規治療)を行った計56例を対象とし、各治療の寛解率、手術回避率を検討した。本検討では治療開始後速やかに寛解導入され、1年以上寛解を維持したものを寛解群とした。また、各群の男女比、発症年齢、罹病期間、罹患範囲、病型に有意差は認めなかった。【結果】寛解率はPSL/CyA/Tac/IFXが42.4%(14/33)/40%(2/5)/63.6%(7/11)/71.4%(5/7)であった。PSLで寛解しなかった19例のうち15例で追加治療(CyA8例、Tac7例、IFX4例、重複あり)が行われ、11例で手術を回避、10例で寛解した。新規治療で寛解しなかった9例のうち5例で追加治療(CyA2例、Tac1例、IFX3例、重複あり)を行ったが何れも寛解せず、2例は手術を行った。手術回避率はPSL/CyA/Tac/IFXが78.8(26/33)/80.0%(4/5)/90.9%(10/11)/85.7%(6/7)であった(追加治療を含む)。寛解率、手術回避率ともに有意差はないものの新規治療群が高い傾向であった。PSLの追加治療を含めた新規治療群の内訳はCyA/Tac/IFXが13/21/14例で、寛解率は16.7%(2/12)/52.4%(11/21)/50%(7/14)であった(重複あり)。56例全体の最終的な寛解率は66.1%(37/56)、手術回避率は82.1%(46/56)であった。【まとめ】PSL群より新規治療群で治療効果が高い傾向であった。新規治療無効例における追加治療の効果は低く、内科治療に固執せず外科的治療を考慮する必要があると考えられた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 難治