セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 033:

直腸癌再発に伴うフルニエ症候群の一救命例

演者 古橋 聡(済生会熊本病院・外科センター)
共同演者 土居 浩一(済生会熊本病院・外科センター), 小川 克大(済生会熊本病院・外科センター), 岩槻 政晃(済生会熊本病院・外科センター), 田中 秀幸(済生会熊本病院・外科センター), 杉山 眞一(済生会熊本病院・外科センター), 井上 耕太郎(済生会熊本病院・外科センター), 緒方 健一(済生会熊本病院・外科センター), 高森 啓史(済生会熊本病院・外科センター)
抄録 【はじめに】直腸癌は再発すると生命予後に影響するばかりでなく、感染や消化管・尿路系の通過障害の原因となるため注意が必要である。今回我々は直腸癌再発後にフルニエ症候群を発症し、集学的治療により救命できた一例を経験したため報告する。【症例】症例は88歳女性。2010年11月直腸癌と上行結腸癌に対して右結腸切除術D2郭清[SS N0 H0 P0 M0 StageII]および高位前方切除術D2郭清[SE N1 H0 P0 M0 StageIIIA]を施行した。2012年4月には画像上は明らかな再発所見は認めなかったが、腫瘍マーカーの上昇を認めていた。2012年7月末に38℃台の発熱が持続するため、近医にて入院加療を開始した。抗生剤投与にて一旦解熱したが、40℃の発熱があり、臀部の皮下気腫も触知された。熱源検索目的にCT撮影を行った結果、骨盤内膿瘍と左臀部から左大腿にかけて筋組織内のガス像を指摘され、精査加療目的に当院紹介となった。肛門指診にて吻合部再発を触知し、その近傍に生じた骨盤内膿瘍を発端とする臀部大腿部ガス壊疽による敗血症と診断した。骨盤内膿瘍にはCT下に穿刺ドレナージを行った直後に、緊急手術として臀部大腿部の切開開放ドレナージを行い、創部の洗浄と抗生剤投与および高気圧酸素療法も連日行った。さらに吻合部再発による通過障害も存在していたため、横行結腸での人工肛門造設術も行った結果、解熱傾向を呈し全身状態は徐々に改善した。来院から2ヶ月後に紹介元に転院となった。現在定期的に当院通院による経過観察中であるが、骨盤内感染の再燃兆候は認めていない。【考察】フルニエ症候群は尿路感染や肛門近傍の膿瘍から急速に感染域が拡大して敗血症を呈し、死亡率20~40%と予後不良な感染病態であるが、早期に開放ドレナージを行うことが肝要で、嫌気性菌が起因菌の場合は高気圧酸素療法の有効性も報告されている。本症例は吻合部再発に伴う微小穿通からの膿瘍形成が考えられた。骨盤内局所再発後の感染が生じた際はフルニエ症候群の発生の可能性を考慮した対応が必要である。
索引用語 フルニエ症候群, ドレナージ