セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専70:

胃迷入膵に発生した急性膵炎の1例

演者 竹口 真隆(済生会熊本病院消化器病センター)
共同演者 浦田 淳資(済生会熊本病院消化器病センター), 古賀 毅彦(済生会熊本病院消化器病センター), 井戸 佑美(済生会熊本病院消化器病センター), 齋藤 宏和(済生会熊本病院消化器病センター), 鈴木 博子(済生会熊本病院消化器病センター), 糸島 尚(済生会熊本病院消化器病センター), 塩屋 公孝(済生会熊本病院消化器病センター), 工藤 康一(済生会熊本病院消化器病センター), 近澤 秀人(済生会熊本病院消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院消化器病センター), 井上 光弘(同外科センター), 高森 啓史(同外科センター), 神尾 多喜浩(同中央検査部病理診断科)
抄録 【はじめに】
 迷入膵はほとんどが消化管に発生し、十二指腸・胃・空腸に後発する。胃疾患における切除例の異所性膵の頻度は0.25-0.93%とされているが、症状を起こすことはほとんどない。今回我々は、検診異常にて発見され、迷入膵の診断にて外来経過観察中に急性膵炎を発症した1例を経験したので報告する。
【症例】
 患者は37歳女性。既往歴に特記事項なく、焼酎1合/日の飲酒歴あり。入院3ヶ月前に職場の検診で異常を指摘され、当科受診。迷入膵の診断にて外来経過観察を行っていた。入院1週間前より心窩部痛・背部痛認め近医受診、血液検査にて血清アミラーゼの上昇と上部消化管内視鏡検査にて迷入膵による粘膜下腫瘤部分の増大と粘膜の発赤を認め当院紹介となった。来院後の検査にて、採血で膵アミラーゼが200IU/Lと上昇を認め、造影CTにて胃体下部前壁に膵実質と同様の増強パターンをとる22mm大の結節を認めたため、迷入膵に発生した急性膵炎の診断にて入院加療とした。入院後、絶食・大量輸液・蛋白分解酵素阻害薬・抗生剤にて加療を行い、速やかに症状・検査所見の改善を認め入院10日目に退院とした。退院後外科にて腹腔鏡下胃部分切除を行った。病理組織検査では、胃粘膜下腫瘤部分に腺房・ランゲルハンス島・膵管による小葉構造の形成を認め、Heinlich I型の迷入膵の所見であった。外来にて経過観察しているが、膵炎の再燃は認めていない。
【考察】
 腹痛AMY高値など膵炎が強く疑われ膵臓の所見が明らかな異常を認めない時、異所性膵による急性膵炎を鑑別に挙げる必要がある。今回文献的考察を加えて報告する。
索引用語 異所性膵, 急性膵炎