セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専65:

分枝型IPMNとの鑑別を要し手術に至った膵漿液性嚢胞腺腫の一例

演者 谷口  竜太(産業医科大学 医学部 消化器内分泌外科)
共同演者 皆川 紀剛(産業医科大学 医学部 消化器内分泌外科), 田嶋 健秀(産業医科大学 医学部 消化器内分泌外科), 上原 智仁(産業医科大学 医学部 消化器内分泌外科), 柴尾 和徳(産業医科大学 医学部 消化器内分泌外科), 山口 幸二(産業医科大学 医学部 消化器内分泌外科)
抄録 【症例】85歳、女性。2013年1月、近医で下部消化管内視鏡を施行した際に、上行結腸に全周性の3型腫瘍及び、同時に施行されたCTで上行結腸腫瘍の他、膵体尾部に多房性嚢胞性腫瘍を認めたため、精査加療目的に当院紹介受診となった。糖尿病や膵炎の既往、また膵癌の家族歴はなかった。【検査所見】採血結果ではCEAの上昇、Hbの低下を認める以外、特記所見は認めなかった。CTで膵尾部の径60mm大は、微小嚢胞による蜂巣状構造を呈する多房性嚢胞性腫瘤を認め、主膵管との交通ははっきりとしなかった。また体尾部に径13mm大の主膵管と交通を認める分葉状嚢胞性腫瘤を認めた。いずれも主膵管拡張や壁在結節の存在は認めなかった。ERCPの際に行った膵液細胞診はclass Iであった。下部消化管内視鏡検査で、上行結腸肝彎曲部に全周性の2型腫瘍を認め、生検結果でGroup5、腺癌であった。【手術】分枝型IPMNもしくは膵漿液性嚢胞腺腫及び上行結腸癌と診断し、腹腔鏡下膵体尾部脾臓合併切除術、腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した。【病理】膵病変はMacrocystic serous cystadenomaであり、悪性所見は認めなかった。上行結腸の病変は低分化腺癌、type2,se,n0,ly1,v1,stageIIであった。【考察】膵漿液性嚢胞腺腫(serous cyst neoplasm; 以下、SCN)は微小嚢胞による蜂巣状構造を特徴とするが、大きな嚢胞によって形成されるmacrocystic typeなど肉眼形態の多様性が報告されている。Macrocystic typeでは、mucinous cystic neoplasmやIPMN、嚢胞変成を伴う膵内分泌腫瘍との鑑別が必要となることもある。今回の症例は分枝型IPMNとの鑑別を要し、嚢胞径が60mmと大きく、IPMCもしくはIPMN併存膵癌の可能性も否定できなかったため、手術の方針となった。【結語】分枝型IPMNと鑑別を要した膵漿液性嚢胞腺腫を切除した症例を経験した。
索引用語 SCN, macrocystic type