セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専31:

回腸に発生したPyrogenic granulomaの1例

演者 梅崎 直紀(熊本大学大学院 消化器外科学)
共同演者 宮本 裕士(熊本大学大学院 消化器外科学), 坂本 快郎(熊本大学大学院 消化器外科学), 辛島 龍一(熊本大学大学院 消化器外科学), 井田 智(熊本大学大学院 消化器外科学), 今村 裕(熊本大学大学院 消化器外科学), 石本 崇胤(熊本大学大学院 消化器外科学), 岩上 志朗(熊本大学大学院 消化器外科学), 馬場 祥史(熊本大学大学院 消化器外科学), 吉田 直矢(熊本大学大学院 消化器外科学), 渡邊 雅之(熊本大学大学院 消化器外科学), 馬場 秀夫(熊本大学大学院 消化器外科学)
抄録 Pyogenic granuloma(化膿性肉芽腫)は小葉性毛細血管腫で殆どが皮膚に発生し、口腔粘膜表面に見られることもあるが消化管内に生じることは極めて稀である。今回我々は回腸に発生したpyogenic granulomaからの消化管出血を経験したので文献的考察を含めて報告する。症例は61歳、男性。主訴は労作時動悸・息切れ。症状が強くなったためかかりつけ医を受診し、循環器疾患を疑われ、精査を行うも異常を認めなかった。血液検査にて鉄欠乏性貧血を指摘され、便潜血反応も陽性であった。上下部消化管内視鏡検査を施行するも出血源は認められず、その後も貧血の進行を認めたため、小腸からの出血が疑われた。カプセル内視鏡検査及び肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行し、回腸に1cm程度の中央にびらんを伴う隆起性病変が認められた。拍動性であったため生検は施行せず、近傍に点墨およびクリップを留置し検査を終了した。後日、小腸動静脈瘻の術前診断で手術を施行した。回腸末端より50cm口側の部に点墨およびクリップを認め、同部を含め小腸部分切除術を施行した。術後経過は良好で術後10日目に退院した。病理検査の結果、表面にびらんがあり、粘膜固有層~下層にかけて多数の血管増生を認め、炎症細胞の浸潤を伴っていた。動静脈瘻の所見は認めず、回腸pyogenic granulomaと診断した。術後6ヶ月現在、貧血の進行は認めていない。本疾患は大量下血や口腔外科領域での再発例も報告されており、完全切除と経過観察が必要である。小腸からの消化管出血の原因の1つとして本疾患も念頭に置くべきである。 
索引用語 小腸, 消化管出血