セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 008:

一卵性双生児双方に発症したHLA DR9陽性潰瘍性大腸炎の1例

演者 クリステンセン めぐみ(沖縄赤十字病院)
共同演者 當間 智(沖縄赤十字病院), 小橋川 ちはる(沖縄赤十字病院), 大城 勝(沖縄赤十字病院), 砂川 隆(沖縄赤十字病院), 金城 福則(琉球大学医学部感染病態制御学講座(第一内科)光学医療診療部), 藤田 次郎(琉球大学医学部感染病態制御学講座(第一内科))
抄録 [はじめに] 近年UC患者数の増加は著しいが、一卵性双生児の双方にUCが発症した報告は、わが国ではまれで、世界的にも報告例は少ない。今回、ステロイド依存性の一卵性双生児の兄の治療経過を参考にintensive GCAPにて寛解導入できた初発の重症全大腸炎型でHLA DR9およびPR3ANCA陽性UCを経験したので報告する。[症 例]30代男性、主訴:腹痛、血便、既往歴;特記事項なし、家族歴;一卵性双生児の兄が全大腸炎型UC、現病歴:2011年9月より時々血便を自覚していた。同年11月に就職してからは排便が1日10行へ増悪し、12月初旬から腹痛が加わったため近医受診し、精査加療目的に当院紹介され、入院。入院当日の大腸内視鏡検査(CS)では、直腸から連続し、全結腸にびまん性顆粒状粘膜を認めた。粘膜は易出血性で多発びらん・潰瘍と一部に打ち抜き様潰瘍を認めた。入院後、絶食、IVH管理とし、ペンタサ、セフメタゾール点滴を開始した。しかし、症状の改善に乏しく、入院2週目のCSでも改善を認めず、12月末よりintensive GCAPを開始したところ、血便は徐々に改善し、便回数も1日12行から3~4行へ軽減した。GCAP終了後のCSでは血管透見を認め、潰瘍は消失・瘢痕化し、偽ポリープが形成されていた。現在、外来通院中で状態は安定し仕事復帰している。[考 察] 本症例は遺伝的素因の検索で日本人UC患者に多いHLA-A24抗原が陽性であったが、UCで正の相関が認められているHLA-DR2は陰性で、負の相関があるHLA-DR4とDR6も陰性であった。しかし、本例は、これまでの一卵性双生児での本邦の報告で認められなかったHLA-DR9が陽性であった。HLA DR9は近年、ANCA関連血管炎の疾患感受性遺伝子として報告されている。UCでも高頻度でMPO-ANCAが陽性になることが知られているが、本例は重症全大腸炎型UCでの報告があるPR3ANCAが陽性であったが、一卵性双生児双方に発症した潰瘍性大腸炎で、これらの報告はなく貴重な症例と考え、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, HLA DR9