セッション情報 シンポジウム4「自己免疫性肝胆膵疾患診療の問題点」

タイトル S4-07:

当センターにおける自己免疫性膵炎(AIP)非典型症例の検討

演者 中原 和之(熊本地域医療センター)
共同演者 上田 城久朗(熊本地域医療センター), 清住 雄昭(熊本地域医療センター), 田村 文雄(熊本地域医療センター), 陣内 克紀(熊本地域医療センター), 山之内 健伯(熊本地域医療センター), 藤江 里美(熊本地域医療センター), 小畑 雅寛(熊本地域医療センター), 明石 隆吉(熊本ヘルスケアセンター)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎(AIP)の概念、診断基準の確立により、典型例の診断、治療は以前に比べ容易となってきている。一方でAIPを疑い精査する中に一定の割合で非典型的な症例が存在する。今回自験例におけるAIP非典型症例の検討を行ったので報告する。【対象と方法】2008年1月より2012年12月までの5年間にAIPを疑い入院精査・加療を行った18例のうち典型的なAIPと年齢等の理由から精査不十分のため確定できなかった症例を除く非典型例3例を検討の対象とした。検討項目は1)症例の背景、2) 血液学的検査所見、3)画像所見、4)臨床経過とした。【結果】1)症例は 35-70歳、男女比2:1, 症状は上腹部不快感、無症状、黄疸各1例であった。2) IgG4の上昇はいずれの症例も認めなかった。3) USおよびEUSでの膵腫大、低エコー化は全例で認めた。部位は膵頭部、膵全体、膵尾部各1例であった。CTでは造影効果は膵実質と比べiso densityが2例、low densityが1例であり、いずれの症例もcapsule-like rimは認めなかった。ERCPでの膵管狭細像は2例で認められた。EUS-FNAにより膵癌の除外はできたが、特徴的な所見を得ることはできなかった。4)いずれの症例もステロイド加療は行わず保存的に経過観察し、2例で膵腫大の改善を認め、1例は画像上不変であった。【結語】:自験例におけるAIP非典型3例は、いずれもIgG4の上昇は無く、膵腫大、低エコーと斑状~網目状高エコーの混在を認めるが、CTでの被膜様構造は認めなかった。今回経験した3症例については全例EUS-FNAを行ったものの組織学的な確定診断を得られなかったのが反省すべき点であり、今後はFNA での穿刺法の工夫やUS下膵生検を考慮する必要がある。検討期間中の臨床経過は比較的良好と思われたが、長期予後については今後症例を蓄積しさらに検討する必要がある。
索引用語 自己免疫性膵炎, 非典型例