セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 111:

肝原発神経内分泌腫瘍の1例

演者 大野 香織(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 玉井 努(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 大重 彰彦(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 今中 大(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学DELIMITER鹿児島大学 循環器・呼吸器講座 心臓血管・消化器外科分野), 熊谷 公太郎(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 宇都 浩文(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 眞(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 門野 潤(鹿児島大学 循環器・呼吸器講座 心臓血管・消化器外科分野), 東 美智代(鹿児島大学 腫瘍学講座 人体がん病理学), 井戸 章雄(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学), 梛野 正人(名古屋大学大学院 腫瘍外科), 矢野 博久(久留米大学医学部病理学講座), 井本 浩(鹿児島大学 循環器・呼吸器講座 心臓血管・消化器外科分野), 坪内 博仁(鹿児島大学 消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 症例は40歳女性。皮膚の紅斑を主訴に当院皮膚科受診し、生検の結果、蕁麻疹様湿疹が考えられ、鑑別に皮膚筋炎が疑われた。皮膚疾患に由来する悪性腫瘍の検索目的で、当科紹介受診となった。当科で施行した腹部超音波検査にて、肝S4/8に約30mmの高エコー腫瘍を認めた。腹部単純CT検査で腫瘍はlow density、造影CT動脈相で中心部はlowで辺縁部から濃染を呈し、平衡相で軽度wash outされた。またEOB-MRIのdynamic CTでも同様の所見を認めたが、加えてT2強調画像では不均一なhigh intensityを呈し、肝細胞相では腫瘍部の取り込み低下を認めた。腹部造影超音波検査では、14秒後の動脈優位相から染影を認め24秒で均一に全体が染影し、その後wash outを認め、kupffer相ではdefectを認めた。以上の所見より、鑑別として肝細胞癌、転移性肝腫瘍、肝細胞腺腫、胆管細胞癌、細胆管細胞癌が疑われたがいずれも典型的ではなく、肝腫瘍生検施行した。病理組織所見では、正常肝細胞以外に、断片化した異型細胞集塊を認め、異型細胞は肝細胞より小型で、核は偏位し、豊富な淡好酸性の胞体を認めた。さらに免疫染色では、CAM5.2、CK19が陽性、CD20、CK7、CK20、HepRar1、CD31、HHF35、SMA、desmin、S100、HMB-45、MelanAは陰性、chromogranin Aも陰性であったが、synaptophysinおよびCD56は陽性、SSTR2は腫瘍細胞の膜に強陽性で、MIB-1陽性細胞は3.5%であった。以上の所見より、神経内分泌腫瘍 G2以上が考えられた。原発巣の検索目的で上下部消化管内視鏡検査、カプセル内視鏡検査、PET施行したが、肝の病変以外に明らかな原発巣は認めず、肝原発神経内分泌腫瘍と診断した。腫瘍の一部は門脈浸潤も疑われたため門脈塞栓術後に、肝右葉3区域・尾状葉切除術を施行した。肝原発の神経内分泌腫瘍は非常に稀な疾患で、予後不良と報告されている。今回、稀な症例を経験したので、若干の文献的考察を踏まえて報告する。
索引用語 肝腫瘍, 神経内分泌腫瘍