セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研02:

腸管気腫性嚢胞症を合併した潰瘍性大腸炎の1例

演者 川名 遼(宮崎大学医学部第一内科)
共同演者 仮屋 暢人(宮崎大学医学部第一内科), 三宮 一朗(宮崎大学医学部第一内科), 原口 大(宮崎大学医学部第一内科), 三木 吾郎(宮崎大学医学部第一内科), 星子 新理(宮崎大学医学部第一内科), 松本 英丈(宮崎大学医学部第一内科), 中島 孝治(宮崎大学医学部第一内科), 芦塚 伸也(宮崎大学医学部第一内科), 稲津 東彦(宮崎大学医学部第一内科), 北村 和雄(宮崎大学医学部第一内科)
抄録 【患者】74才女性【主訴】血便【現病歴】10年前に潰瘍性大腸炎(UC)を発症し、ステロイド療法にて寛解に至った。経過良好であり、6年前からはステロイド投与は中止され、1年前からは5ASA製剤も中止されていた。20XX年11月下旬より腹痛、血便、下痢(5-8回/日)が再燃し、前医にて5ASA製剤、PSL 30mg/日が開始されたが、寛解導入が得られなかった。CMV陽性のためganciclovirも追加されたが、なお寛解に至らず、12月下旬に当科転院となった。当科転院時大腸内視鏡検査(脾弯曲部まで観察)では直腸からS状結腸を中心に脾弯曲部までびらん・潰瘍が多発し、重症の所見であった(DAIスコア10点)。PSL、ganciclovir継続のもと、絶食・中心静脈栄養管理、LCAPを開始したが、腹痛と血便の改善は認めなかった。ステロイドおよびLCAP抵抗性であり、1月上旬よりinfliximab(IFX)療法を開始した。その後、腹痛と血便は改善傾向を示したが、腹部X線検査で上行結腸の拡張傾向が出現した。2回目のIFX投与後の大腸内視鏡にて、横行結腸以深にびまん性の粘膜下気腫性変化を認めた。腹部CTでは上行結腸から横行結腸右側の腸管壁内に気腫性変化を、また横隔膜下と肝内胆管にわずかにfree airを認め、腸管気腫性嚢胞症(PCI)と診断した。腹部症状に乏しく、血液ガス所見も正常であったため、保存的に経過を診る方針とし、絶食・補液管理、酸素投与(3L/min)を行った。その後、症状増悪を認めず、約1週間で腸管の気腫性変化は消失した。Retrospectiveに評価すると、IFX初回投与直前の腹部X線上でPCIを疑われる所見が認められ、PCI発症の誘因として、原疾患(UC)の存在と、ステロイド投与の影響が考えられた。
PCIを合併したUCは比較的稀であり、貴重な症例と考え文献的考察をふまえ報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 腸管気腫性嚢胞症