セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研12:

転移リンパ節が胃・膵浸潤を来した食道癌に対し、化学放射線療法が奏効し手術可能となった1例

演者 酒井 克也(宮崎大学医学部附属病院卒後臨床研修センター)
共同演者 仮屋 暢人(宮崎大学医学部附属病院第一内科), 三宮 一朗(宮崎大学医学部附属病院第一内科), 三木 吾郎(宮崎大学医学部附属病院第一内科), 星子 新理(宮崎大学医学部附属病院第一内科), 芦塚 伸也(宮崎大学医学部附属病院第一内科), 松本 英丈(宮崎大学医学部附属病院第一内科), 中島 孝治(宮崎大学医学部附属病院第一内科), 稲津 東彦(宮崎大学医学部附属病院第一内科), 北村 和雄(宮崎大学医学部附属病院第一内科), 西田  卓弘(宮崎大学医学部附属病院第一外科), 中島 真也(宮崎大学医学部附属病院第一外科), 千々岩 一男(宮崎大学医学部附属病院第一外科)
抄録 症例は58歳男性。嚥下困難、体重減少を主訴に近医を受診した。上部消化管内視鏡で食道門歯より26-32cmに発赤調で全周性の0-IIcを認め、生検にて扁平上皮癌であった。また、胃体上部後壁に約5cmの潰瘍形成を伴った粘膜下腫瘍を認め、生検で扁平上皮癌であった。CTでは胃小弯側の約5cmの転移リンパ節が、胃体部後壁、膵体部へ直接浸潤しており、内視鏡で認めた胃粘膜下腫瘍に相当すると判断した。以上よりcT1b, cN2, cM1, cStageIVb(食道癌取扱い規約第10版)と診断した。2012年7月上旬より化学放射線療法(FP療法: 5FU 700mg/m2, day1-4, CDDP 70mg/m2, day1, 計4回。放射線療法: 1.8Gy x 28Fr, 計50.4Gy)を施行した。11月の上部消化管内視鏡では原発巣は消失し、生検でも悪性所見を認めなかった。CTでは膵体部への浸潤は残存するものの胃小弯リンパ節は著明に縮小していた。原発巣はcomplete remissionと考え、膵体部浸潤を伴った胃小弯リンパ節に対して、2013年1月下旬に当院外科にてAppleby手術+胆嚢摘出術が施行された。術後経過は良好で現在外来経過観察中である。化学放射線療法後の食道癌で癌遺残を認める場合、サルベージ手術が唯一の救済治療として期待されている。cStageIVbの食道癌に対して化学放射線療法が奏功し、手術可能となった例はまだ報告が少ないため、若干の文献的考察を加え、報告する。
索引用語 食道癌, サルベージ手術