セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 021:

腹壁に発生したsolitary fibrous tumor(SFT)の一例

演者 廣石 和章(中津市立中津市民病院 外科)
共同演者 三島 泰彦(中津市立中津市民病院 外科), 小幡 聡(中津市立中津市民病院 外科), 上原 英雄(中津市立中津市民病院 外科), 岡田 敏子(中津市立中津市民病院 外科), 大場 太郎(中津市立中津市民病院 外科), 福山 康朗(中津市立中津市民病院 外科), 白水 章夫(中津市立中津市民病院 外科), 岸原 文明(中津市立中津市民病院 外科), 池田 正仁(中津市立中津市民病院 外科)
抄録 症例は64歳女性。20年程前より左鼠径部腫瘤を自覚していたが放置していた。57歳頃近医を受診し鼠径ヘルニアと診断され経過をみていたが、その後も徐々に腫瘤が増大してきたため当科外来を受診した。来院時現症にて左鼠径部に小児頭大の弾性、軟な腫瘤を触知したものの、皮膚の発赤や圧痛は認めなかった。画像所見ではCTにて左鼠径部皮下に11×6cm大の著明な造影効果を伴う境界明瞭な腫瘤を認めた。中心部に増強不良な領域があり、壊死や嚢胞変性、線維化等が考えられた。また、MRIでは左下腹部腹壁にT1WIで低信号、T2WIで不均一な等~高信号を呈する11cm大の腫瘤を認めた。充実成分が主体で内部に小嚢胞の混在が示唆された。また、DWIでは高信号を呈しており、main feederは下腹壁動脈と考えられた。鑑別診断として、solitary fibrous tumorやHemangiopercytoma、Leiomyosarcoma/Leiomyoma等が考えられ、腹壁腫瘤摘出術を施行した。手術所見にて腫瘤周囲は血管に富んでいたが、周囲組織との境界は概ね明瞭であった。また、左鼠径部において最も癒着が強く、同部位から発生した可能性が高いと考えられた。腫瘍は120×100×75mm大で、被膜を有しており、割面は大部分が黄白色充実性で血液を多く含んでいた。病理組織学所見では紡錘形細胞が特定の配列を示さずに増殖しており、拡張した血管がstaghorn様に分岐する血管周皮腫様の血管パターンを認めた。免疫染色ではCD34, vimentinが陽性、α-SMA, desminは陰性であり、SFTの診断であった。今回われわれは、腹壁皮下に発生し比較的まれと考えられたSFTの1例を経験したので報告する。
索引用語 腹壁, SFT