セッション情報 シンポジウム4「自己免疫性肝胆膵疾患診療の問題点」

タイトル S4-01:

当院における急性発症型自己免疫性肝炎の検討.

演者 光安 智子(福岡大学筑紫病院 消化器内科)
共同演者 野間 栄次郎(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 丸尾 達(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 松村 圭一郎(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 簑田 竜平(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 大塚 雄一郎(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院 消化器内科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器内科)
抄録 【目的】急性発症した自己免疫性肝炎(AIH)は診断に苦慮することがある.そこで当院で経験した急性発症型AIHについて検討する.【対象・方法】対象は1993年から2012年までに急性肝炎を指摘され肝生検で診断したAIH19症例(男性5例、女性14例).検討項目は1.初診時または入院時の臨床検査成績(IgG, 抗核抗体, 血小板, PT, 総ビリルビン, ALT), 2.初期治療(プレドニン開始量, UDCA併用の有無),3.維持療法,4.退院後1年以内の再燃の有無である.【成績】1.検査成績;血小板12万未満2例(11%),PT70%以下6例(32%),総ビリルビン5mg以上9例(47%),ALT100~999 11例(58%),1000以上8例(42%)と比較的肝予備能は保たれていた.IgGが2g以上10例(53%)2g未満9例(47%)であった.抗核抗体陽性14例(74%),陰性5例(26%)であった.抗核抗体陽性の80倍以上は8例(57%)であった.2.初期治療は1例でパルス療法を行ったが,17例は30-40mgで治療可能であった.3.維持療法を必要としないものは1例で,維持療法を行っているもののうち免疫抑制剤の併用が必要な症例が2例見られた.4.退院後1年での再燃は6例であった.【結論】当院では死亡例は経験しなかったが、急性像を呈してもIgGや抗核抗体が上昇しない症例も見られることから,このような症例の診断には早期の肝生検が必要である.
索引用語 自己免疫性肝炎, 診断、治療