セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専46:

原発不明の転移性骨腫瘍として治療され1年後に肝原発巣が出現した1例

演者 土屋 直壮(福岡大学病院消化器内科)
共同演者 國本 英雄(福岡大学病院消化器内科), 四本 かおる(福岡大学病院消化器内科), 櫻井 邦俊(福岡大学病院消化器内科), 田中 崇(福岡大学病院消化器内科), 平野 玄竜(福岡大学病院消化器内科), 横山 圭二(福岡大学病院消化器内科), 森原 大輔(福岡大学病院消化器内科), 竹山 康章(福岡大学病院消化器内科), 入江 真(福岡大学病院消化器内科), 岩田 郁(福岡大学病院消化器内科), 釈迦堂 敏(福岡大学病院消化器内科), 早田 哲郎(福岡大学病院消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学病院消化器内科)
抄録 症例は81歳男性。1996年に上行結腸癌に対して右半結腸切除術、術後経口化学療法を施行された。2011年1月胸椎圧迫骨折、両下肢不全麻痺が出現し、後方固定術を施行され、圧迫骨折の原因として転移性骨腫瘍が疑われた。PET-CTや病理所見では大腸癌の再発は認めず、PIVKA-IIが1958AU/mlと高値であり、病理組織学的にも肝細胞癌の転移が疑われたが、腹部造影CTでは肝臓内に明らかな原発巣は指摘できず、原発不明癌の骨転移と診断された。圧迫骨折部位の腫瘍増大に伴う麻痺の出現を予防するため第10胸椎に対して30Gy/10Frの放射線治療を施行し、その後は当院血液腫瘍内科で腫瘍マーカーと画像検査にてフォローされていた。2011年11月の腹部造影CTで肝S3に7mm、S6に9mmの腫瘍を認め、経過フォローされていた。2012年11月右第5肋骨の転移性腫瘍に対して30Gy/10Frで放射線治療を施行された。2013年1月の腹部造影CTで肝S3の腫瘍の増大を認めたため当科紹介となった。WBC:4000/μl、RBC:13.0g/dl、Plt:13.0万/μl、Alb:3.5g/dl、PT:84%、AST:32U/l、ALT:12U/l、T.bi:l0.7mg/dl、AFP:1.5ng/ml、AFP L3分画<0.5%、PIVKA-II:383mAU/mlであった。肝S3の肝細胞癌は肝表面にあり肝細胞癌破裂の危険性が高いと判断し、同年2月に肝動脈化学塞栓術を施行した。本症例は画像で検出できない程の小肝細胞癌による骨転移が疑われるが、NBNC、Non LC症例であるため肝細胞癌のリスクが低く、肝細胞癌や転移の診断が困難であった。 今回、原発不明の転移性骨腫瘍として治療されていた肝細胞癌の1例を経験したため、若干の考察を加えて報告する。
索引用語 肝細胞癌, 骨転移