セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研31:

横行結腸捻転症の1例

演者 関戸 祐子(済生会熊本病院)
共同演者 大内 繭子(済生会熊本病院), 藤木 義敬(済生会熊本病院), 東 孝暁(済生会熊本病院), 小川 克大(済生会熊本病院), 井上 光弘(済生会熊本病院), 田中 秀幸(済生会熊本病院), 杉山 眞一(済生会熊本病院), 井上 耕太郎(済生会熊本病院), 土居 浩一(済生会熊本病院), 高森 啓史(済生会熊本病院)
抄録 [はじめに] 横行結腸捻転症は結腸捻転症の約4%と報告され、まれな疾患である。今回、われわれは横行結腸捻転症の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。[症例]患者は47歳、女性。主訴は腹痛。既往歴に便秘症があり下剤を内服していた。2012年8月半ばに腹痛を自覚し近医受診。腹痛に対して鎮痛剤使用されるも改善ないため、急性腹症の診断で当院紹介となる。腹部全体に圧痛を認めたが反跳痛は認めなった。造影CTでは大腸に大量の便塊を認め、その肛門側は腸間膜を巻き込みらせん状に狭窄していた。また、骨盤内の腸管は造影不良であったため、大腸捻転症を疑い緊急手術を施行した。回盲部から上行結腸は腹壁に固定されておらず、回腸から横行結腸にかけて時計回りに回転していた。回転を解除し、横行結腸を腹壁に固定して手術を終了した。術後経過は良好で術後4日目に退院したが、4か月後に再発し、他院で結腸切除術を施行された。[考察] 横行結腸捻転症は極めてまれな疾患である。腸捻転症は機械的イレウスのうち5%を占めるとの報告があるが、発生部位はS状結腸が最も多く72.6%、盲腸部が21.7%、横行結腸は1.9%と少ない。腸捻転の要因には、先天的・生理的・機械的の3つがあると考えられている。本症例は上行結腸の固定がないという先天的要因と便秘症という生理的要因が関与していると考えられた。治療法には内視鏡的整復・腸管固定術・腸管切除があるが、文献によると整復や腸管固定術では再発する可能性が高いので、腸管壊死を認めなくても腸管切除を考慮すべきとの報告が多い。本症例でも腸管固定術を施行したが、術後4か月後に再発した。これは、腸管固定術を行ったとしても、先天的要因や慢性的な腸管運動障害が残存しているためと考えられる。捻転の解除のみでは捻転再発のリスクがあり、二期的切除を考慮すべきと考えられた。
索引用語 横行結腸, 捻転