セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研20:

肝サルコイドーシスに合併した肝細胞癌の1例

演者 成田 翔平(長崎医療センター肝臓内科)
共同演者 真崎 弘美(長崎医療センター肝臓内科), 佐々木 龍(長崎医療センター肝臓内科), 宮副 由梨(長崎医療センター肝臓内科), 橋元 悟(長崎医療センター肝臓内科), はい 成寛(長崎医療センター肝臓内科), 大谷 正史(長崎医療センター肝臓内科), 山崎 一美(長崎医療センター肝臓内科), 長岡 進矢(長崎医療センター肝臓内科), 久富 恵子(長崎医療センター 呼吸器内科), 伊藤 正博(長崎医療センター 病理部), 阿比留 正剛(長崎医療センター肝臓内科DELIMITER長崎医療センター 臨床研究センター), 小森 敦正(長崎医療センター肝臓内科DELIMITER長崎医療センター 臨床研究センター), 八橋 弘(長崎医療センター肝臓内科DELIMITER長崎医療センター 臨床研究センター)
抄録 症例は50歳、女性。2011年9月、住民検診で胸部異常陰影を指摘され当院呼吸器内科受診。抗酸菌感染症、肝疾患の既往歴なし。内服薬なし。健康食品の摂取なし。AST 28IU/l、ALT 15IU/l、ALP 446IU/l、γ-GTP 53IU/l、LDH 250IU/l、WBC 2100/µl、RBC 405万/µl、Plt 5万/µl、ACE 52.9IU/l、ツベルクリン反応陰性。胸部CTにて両側縦隔・肺門リンパ節腫大、肺野の小結節影を認めた。気管支肺胞洗浄ではリンパ球76%、CD4/8比4.8と上昇を認めサルコイドーシスに矛盾しない所見であったが、経気管支肺生検では肉芽腫性病変は見られなかった。眼・皮膚・心病変は認めなかった。腹部CTでは肝S8に2cm大の腫瘍性病変を認め均一な早期濃染と軽度のwashoutを呈した。EOB-プリモビストMRIではT1強調で低信号を呈し肝細胞相では取り込み低下を示した。背景肝、腫瘍の組織学的評価目的で肝腫瘍生検を施行したところ、中分化肝細胞癌および類上皮肉芽腫を認めた。背景肝に類上皮肉芽腫が散見されたため、肝サルコイドーシスに合併した肝細胞癌と診断した。血小板低値、血小板輸血に対するアレルギー反応が出現したため、肝切除のリスクが高いと判断し肝動脈化学塞栓療法を施行した。現在治療後15か月であるが明らかな再発はなく経過観察中である。肝生検では肉芽腫がしばしば認められ、結核、原発性胆汁性肝硬変、薬剤性肝障害など多くの疾患が鑑別に挙がる。本症例も臨床検査、画像所見などを併せて総合的に肝サルコイドーシスの診断となった。サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患であり、約70%に肝病変を認める。肝サルコイドーシスに合併した肝細胞癌は稀であるが、発癌機序を考える点で興味深いため、文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝サルコイドーシス, 肝細胞癌