セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研03:

経口小腸造影検査後に敗血症性ショックを生じたクローン病の一例

演者 野田 貴穂(宮崎大学医学部附属病院卒後臨床研修センターDELIMITER宮崎大学医学部第一内科)
共同演者 仮屋 暢人(宮崎大学医学部第一内科), 三宮 一朗(宮崎大学医学部第一内科), 原口 大(宮崎大学医学部第一内科), 三木 吾郎(宮崎大学医学部第一内科), 星子 新理(宮崎大学医学部第一内科), 松本 英丈(宮崎大学医学部第一内科), 中島 孝治(宮崎大学医学部第一内科), 芦塚 伸也(宮崎大学医学部第一内科), 稲津 東彦(宮崎大学医学部第一内科), 北村 和雄(宮崎大学医学部第一内科), 甲斐 健吾(宮崎大学医学部第一外科), 石崎 秀信(宮崎大学医学部第一外科), 千々岩 一男(宮崎大学医学部第一外科), 山下 篤(宮崎大学医学部構造機能病態学分野), 丸塚 浩助(宮崎大学医学部構造機能病態学分野), 浅田 祐士郎(宮崎大学医学部構造機能病態学分野)
抄録 【症例】40歳代、男性
【主訴】右下腹部痛
【経過】
22歳時に小腸大腸型クローン病と診断され、回盲部切除術を施行された。その後も吻合部狭窄と小腸狭窄に対し、計2回の開腹手術を施行された。20XX年2月、右下腹部痛が再燃し、同年4月に当科入院となった。大腸内視鏡検査(CS)では回腸結腸吻合部およびその3cm口側の回腸に強い狭窄部を認めた。CSより2日後に100 w/v% バリウムを用いた経口小腸造影検査(充盈圧迫法)を施行し、2か所の強い狭窄に挟まれた腸管は嚢状に変形していた。
経口小腸造影検査同日の夜間より38℃台の発熱が出現し、翌朝にはショック状態となった。SIRS、DIC、肝腎機能障害、エンドトキシン高値を認め、敗血症性ショックと診断した。腹部CTでは穿孔所見は認めなかった。大量補液、ノルエピネフリン、ドパミン投与後も循環動態の改善を認めず、ICU、人工呼吸器管理下にCHDFおよびエンドトキシン吸着療法を開始し、DIC治療、ガンマグロブリン製剤投与等、厳重な全身管理を行った。その後、病状は徐々に回復し、6日後に一般病棟に復した。急変時の血液培養からE.coliが検出され、bacterial translocation(BT)による敗血症と考えられた。全身状態改善後に狭窄部切除術を施行し、その後の経過は良好である。
経口小腸造影検査は基本的に安全な手技であり、敗血症合併の報告は極めて稀である。本症例では、2か所の狭窄に挟まれた腸管の内圧を検査により上昇させ、BTを生じた可能性が否定できず、若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 クローン病, 経口小腸造影検査