抄録 |
腹腔鏡下に胃部分切除を行った胃GISTの3例戸畑共立病院 外科白岩祥子、谷脇智、今村鉄男、佐藤英博、宗宏伸、高山成吉、新田智之、竹谷園生、森田敏夫、今井伸一腹腔鏡補助下に胃部分切除を行った胃上部(穹隆部)gastrointestinal stromal tumor (GIST)の3例を経験したので,手術適応と術式の要点について報告する。患者背景:年齢47~84歳,全例女性,腫瘍径は40~60mm,部位は胃体中部前壁1例,穹隆部大彎2例であった。手術手技の要点:臍部オープン法でポート挿入し,5ポートで手術開始。大網を切開し網嚢を開放、短胃動脈を結紮切離。切離ラインをマーキングし、切除側胃漿膜を吊り上げ、ハーモニックで胃を切離(胃部分切除)した。摘出臓器を臍部創延長後に体外へ取り出し、胃切離部を層々にバイクリル糸にて腹腔内で行った。手術時間は200~290分,出血量は5~10g。術後合併症は認めず、術後消化管造影検査で機械切離縫合器を用いるよりも、自然な形態の残胃が保たれているのが確認できた。術後,再発の徴候を認めていない。自験例では生検による術前病理診断は1例しか行われていないが、臨床所見で低悪性度のものと診断されたGISTに対しては本術式のような胃部分切除術でも十分安全に施行しうる術式であると考えられた。 |