セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研56:

集学的治療により良好にコントロールできている多発肝細胞癌の一例

演者 中尾 康彦(長崎大学病院 消化器内科)
共同演者 内田 信二郎(長崎大学病院 消化器内科), 田浦 直太(長崎大学病院 消化器内科), 東郷 政明(長崎大学病院 消化器内科), 高原 郁子(長崎大学病院 消化器内科), 吉村 映美(長崎大学病院 消化器内科), 妹尾 健正(長崎大学病院 消化器内科), 加茂 泰広(長崎大学病院 消化器内科), 本田 琢也(長崎大学病院 消化器内科), 柴田 英貴(長崎大学病院 消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院 消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院 消化器内科)
抄録 背景:2004年肝細胞癌に対し、定位放射線治療(SRT)が保険適応となった。SRTのガイドラインにおいて、50mm単発病変が治療の適応と定められているも、対象、治療効果、安全性について議論が行われているところである。今回我々はSRTを用いた集学的治療を経験したので報告する。症例:82才、男性。既往歴:78才時に右肺癌切除、輸血歴なし。家族歴:特記事項なし。現病歴:20XX年5月に近医の腹部エコーにて肝S5/6に最大径35mmの腫瘤性病変を指摘され当院外科へ紹介。入院後の精査の結果HCV抗体、HBs抗原ともに陰性、child-pugh score 5点、腹部画像検査によりS5/6単発の肝細胞癌と診断、同年8月、肝拡大前区域切除術を施行された。病理所見は、中分化肝癌(脈管侵襲なし)、背景肝は軽度の線維化を伴う程度であった。20XX+1年2月の腹部MRIにより肝両葉に多数の肝細胞癌再発を指摘され当科紹介となった。経過:TACE施行するも、腫瘍制御が困難であり、TACE不応例と判断した。そのため、同年7月よりソラフェニブ内服を導入するも、全身倦怠感、高血圧のため中止となった。8月テガフール・ウラシル(UFT)内服+アイエーコール (CDDP)全肝動注による2nd lineを導入。4クール後、腹部画像検査にて、viable lesionは肝S4の17mm大1ヶ所のみとなった。抗癌剤治療によるdown stageが得られたため、S4病変に対して肝切除術、RFAを考慮するも、年齢や病変に対する穿刺ラインの確保が困難であったため、同部位に対して同年7月SRT(45Gy/5fr.)による治療を行った。9月の腹部CTでは、肝内に肝癌の再発を疑わせる病変は認めず著効と判断した。結語:SRTを用いた集学的治療により著効が得られた多発性肝癌の一例を経験した。多発性の肝細胞癌であっても、TACE、化学療法によりdown stageが得られたが肝切除やRFAによる治療が躊躇される場合、SRTによる治療を検討する必要があると考えられた。
索引用語 肝癌, SRT