セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専50:

ソラフェニブ投与で重篤な肝障害を来した肝細胞癌肺・骨転移(肝内病変なし)の1例

演者 山尾 宣暢(熊本大学大学院消化器外科)
共同演者 林 洋光(熊本大学大学院消化器外科), 黒田 大介(熊本大学大学院消化器外科), 新田 英利(熊本大学大学院消化器外科), 今井 克憲(熊本大学大学院消化器外科), 橋本 大輔(熊本大学大学院消化器外科), 近本 亮(熊本大学大学院消化器外科), 石河 隆敏(熊本大学大学院消化器外科), 別府 透(熊本大学大学院消化器外科DELIMITER熊本大学病院消化器癌集学的治療講座), 馬場 秀夫(熊本大学大学院消化器外科)
抄録 【はじめに】ソラフェニブは切除不能肝細胞癌症例への有効性が示された経口マルチキナーゼ阻害薬であり、腫瘍細胞増殖及び腫瘍血管新生を標的とする。一方、重篤な有害事象として肝不全・肝性脳症が報告(1%以下)され死亡例も指摘されており、厚生労働省からの注意喚起も行われた。今回、肝細胞癌に対するラジオ波凝固療法と肝切除後で肝内病変を認めない肝細胞癌肺・骨転移症例に対するソラフェニブ投与後に重篤な肝障害を来し、保存的治療により軽快した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。【症例】77歳、男性。HBVキャリア。平成22年1月より肝細胞癌に対して、ラジオ波凝固療法(3回)と肝部分切除を施行し、肝内には明らかな再発病変はなかった。平成23年10月に右肋間転移を認め胸壁部分切除を施行。その後胸壁転移の再発、多発肺転移を認めたため、平成24年6月末にソラフェニブ(800 mg/日)を導入した。導入後2か月経過したのちに食欲不振、倦怠感を主訴に当院を受診し、総ビリルビン28.6 mg/dL(直接ビリルビン20.4 mg/dL)と著明な黄疸を認めた(肝性脳症なし)。肝生検にて肝細胞内への胆汁沈着を認め、胆管拡張を認めない胆管内胆汁栓形成を認めた。高気圧酸素療法施行とともに黄疸を含めた全身状態は緩やかに改善し、治療開始より約2ヶ月後に総ビリルビン3 mg/dL台にまで低下した。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ