セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専66:

術前化学療法によりダウンステージの得られた膵癌の一例

演者 下之園 将貴(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科)
共同演者 新地 洋之(鹿児島大学 医学部 保健学科 ), 前村 公成(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 又木 雄弘(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 川崎 洋太(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 上野 真一(鹿児島大学 医歯学総合研究科 臨床腫瘍学), 迫田 雅彦(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 飯野 聡(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 高尾 尊身(鹿児島大学 フロンティアサイエンス研究推進センター), 夏越 祥次(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科)
抄録 はじめに:膵癌は予後不良な疾患であり、切除単独の成績向上に限界があり,術前,術後の補助療法の付加治療が必須である。今回、術前化学療法(NAC)を行い、最終病理診断にてダウンステージの得られた膵癌の一例を経験したので報告する。症例:78歳、女性。主訴:左側腹部痛、家族歴、生活歴に特記なく、既往歴、C型慢性肝炎、糖尿病、直腸癌の手術既往あり。現病歴:慢性C型肝炎に対してフォロー中であった。H24年3月、左側腹部痛あり、USで膵体部に10mm大の腫瘍性病変を指摘。精査にて膵頭部癌疑われ、当院紹介受診。精査にて膵体部癌 Pb,TS1(17×11mm) T3( CH-,DU-S+, Rp+, PV-, A-, PL-, OO) N0, M0 StageIIIの診断。EUS下生検にて、adenocarcinomaの診断であった。切除可能膵癌に対し、NACを行う方針とした。本人・家族へ上記の内容を十分I.C.を行い、TS-1+GEM(GS)を2コース(1コース:TS-1 60mg/m2/dayを2週間投与1週間休薬、GEMを1000mg2/dayをday1,8に施行)行った。有害事象として、非血液毒性はなく、血液毒性で、白血球減少Grade2、血小板減少Grade1が出現し、2コース目のTS-1およびGEMともに減量投与を行い完遂。化学療法後の画像評価を行い、腫瘍径は9mmと縮小し、縮小率47%とPR。根治目的に膵体尾部切除+D2郭清手術を行った。最終病理診断にて、pT1N0M0 stageIであり、化学療法の組織学的効果をEvans分類で評価し、Grade IIbであった。術後は補助化学療法は未施行で、現在術後9か月経過し、無再発生存中である。考察:現在、本邦における膵癌に対する術後化学療法は、JASPAC試験においてTS-1の有用性が証明された。NACの有用性の検証として、術前GS vs手術単独の臨床試験(PREP02/JSAP05試験)が現在開始されている。今回、切除可能症例に対し、GS2コース後根治切除を行ったが、有害事象は血液毒性のGrade2のみで、pathological にdown stagingが得られ、NACの有用性が示唆された。まとめ:切除可能症例に対しGSによるNACを行い、pathological にdown stagingが得られ、NACの有用性が示唆された。
索引用語 膵癌, 術前化学療法