共同演者 |
橋元 悟(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 佐々木 龍(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 戸次 鎮宗(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 大谷 正史(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), はい 成寛(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 佐伯 哲(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科), 長岡 進矢(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 阿比留 正剛(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 山崎 一美(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 小森 敦正(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター), 八橋 弘(国立病院機構長崎医療センター肝臓内科DELIMITER国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター) |
抄録 |
薬剤起因性自己免疫性肝炎(DIAIH)は自己免疫性肝炎(AIH)のうち約10%を占めると報告されている。今回我々はステロイド抵抗性で免疫抑制剤の併用を必要としたDIAIHの1例を経験したので報告する。 症例は46歳、男性。2010年4月前医で多発性硬化症と診断され、同年8月上旬より病状進展抑制のためインターフェロン-β-1bの投与が開始された。さらに同時期より副鼻腔炎に対しクラリスロマイシン・L-カルボシステインも処方された。9月上旬より全身倦怠感・食思不振が出現、9月中旬頃より肝機能異常を認め、精査加療目的にて当科紹介入院となった。飲酒歴なし。血液検査ではAST 1810 IU/l, ALT 2234 IU/l, G-GTP 779 IU/l, LDH 545 IU/l, T.bil. 9.3mg/dl, PT 51%と著明な肝障害とPT低下を認めた。ウイルス性肝炎は否定的で、ASMA陽性(40×)、ANA・AMAは陰性であった。腹部CTでは異常所見認めなかった。薬物性急性肝障害を疑い入院同日より上記被疑薬剤を中止し、重症化予防を目的としてmPSLパルス療法(1g×3days)を施行した。治療後一旦肝機能は改善するも、mPSLパルス療法中止に伴い再増悪を認めた。被疑薬中止後も肝障害は遷延しており、AIH scoreは 13点、B cell-activating factor belonging to the TNF family (BAFF) 値が高値(2795pg/ml)でありDIAIHが疑われた。入院中predonisoloneに加えmPSLパルス療法を短期間に2回追加するもpredonisolone漸減に伴い肝炎の増悪を繰り返したため、ステロイド抵抗性と判断しアザチオプリン50mgの併用を開始した。併用開始後より徐々に肝機能改善認め、predonisolone漸減が可能となり2011年9月同中止、さらに2012年5月アザチオプリンも中止した。薬剤中止後10ヶ月経過現在まで肝炎再燃を認めていない。 ステロイド抵抗性DIAIHについて文献的考察も加え報告する。 |