セッション情報 | シンポジウム4「自己免疫性肝胆膵疾患診療の問題点」 |
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タイトル | S4-05:自己免疫性肝疾患における血清Heat shock protein(HSP)47値の検討 |
演者 | 柴田 英貴(長崎大学病院消化器内科DELIMITER長崎大学病院医療教育開発センター) |
共同演者 | 田浦 直太(長崎大学病院消化器内科), 市川 辰樹(長崎大学病院消化器内科), 高原 郁子(長崎大学病院消化器内科), 妹尾 健正(長崎大学病院消化器内科), 内田 信二郎(長崎大学病院消化器内科), 加茂 泰広(長崎大学病院消化器内科), 吉村 映美(長崎大学病院消化器内科), 本田 琢也(長崎大学病院消化器内科), 磯本 一(長崎大学病院消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科) |
抄録 | 【目的】肝線維化に寄与するHSP47は肝細胞傷害や炎症によって肝星細胞が活性化され様々なコラーゲンが分泌合成される際に必須の分子シャペロンである。また、HSPに対する自己免疫応答異常は、自己免疫疾患の発症や増悪の原因の一つと考えられており、自己免疫学的機序を有する肝疾患においてHSP47やそれに対する自己抗体が発症や病勢に関わっている可能性があると考えられる。しかし肝疾患における血清HSP47値測定の臨床的意義については十分な検討がなされていない。 【方法】自己免疫性肝炎(AIH)20名、原発性硬化性胆管炎(PSC)6名、臨床的に肝硬変(LC)と診断された8例を含む原発性胆汁性肝硬変(PBC)34名について血清HSP47値(pg/ml)および抗HSP47抗体価をELISA法を用いて測定した。潰瘍性大腸炎(UC)患者26名と健常人ボランティア群(HV群)22名を対照群とした。年齢、性別のほかに投薬内容を調査した。さらに自己免疫性肝疾患を有する症例については血清保存時の各種採血結果を調査した。PBC群においてはヒアルロン酸、LCの有無について、肝生検を施行されたAIH症例(26例のうち15例)では線維化の程度を含めHSP47、抗HSP47抗体との関係について評価した。 【成績】全症例での検討においてHSP47値、抗HSP47抗体価ともに肝疾患を有する群がHV群、UC群いずれとの比較においても有意に高値を示した。次に肝疾患群について検討するとHSP47値、抗HSP47抗体ともに年齢や血小板、トランスアミナーゼとの相関は認めなかった。肝疾患別の検討ではAIH群がPSC群およびPBC群より抗HSP47抗体が有意に高値を示した。また、肝疾患群において抗HSP47抗体はIgGと正の相関(R=0.392、p=0.0033)、Alb(R=-0.446、p=0.0004)、ChE(R=-0.3779、p=0.0041)と負の相関を認めた。HSP47、抗HSP47抗体ともにAIH群における線維化の程度とは明らかな関連は見いだせなかったが、PBC群においては肝硬変を有する群で有意に抗HSP47抗体高値を認めた。 【結論】自己免疫性肝疾患で血清中のHSP47、抗HSP47抗体が高値となることが示され、抗HSP47抗体はAIHで特に高いことがわかった。 |
索引用語 | 自己免疫性肝疾患, HSP |