セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 113:

多発性硬化症を合併した原発性胆汁性肝硬変症、CREST症候群、自己免疫性肝炎のオーバーラップ症候群の1例

演者 本多 敬和(医療法人聖和会有明成仁病院消化器内科)
共同演者 仲山 慶一郎(医療法人聖和会有明成仁病院消化器内科), 木通 隆之(医療法人聖和会有明成仁病院内科), 徳永 信一(医療法人聖和会有明成仁病院内科), 松山 正子(医療法人聖和会有明成仁病院内科)
抄録 【症例】43歳、男性。 主訴:全身倦怠感、左半身のしびれ、冷感 。【既往歴】40歳時、胆石で胆嚢摘出術。気管支喘息、うつ病で通院歴あり。 【飲酒歴】機会飲酒。 【輸血歴】なし。 【現病歴】多発性硬化症の治療で、2005年8月から2008年9月までIFN-βを投与されていた。 IFN-βの投与開始以来、肝機能障害を来たし、ALP600台、γ-GTP580位と高値であった。 IFN-βによる副作用と言われ、無治療で経過をみれらており、IFN-β終了後にγ-GTPは200台に下がっていたが、2011年に禁煙薬の内服を開始して以来、肝胆道系酵素の再上昇がみられたため、精査目的で2012年9月8日に当院を受診した。受診時、AST105,ALT106,γ-GTP263, ALP564と肝胆道系酵素の高値を認め、腹部USで肝左葉肥大、右葉委縮、脾腫、肝内にwhite diffuse spotを認め、肝内胆汁うっ滞を伴う慢性肝障害パターンを示した。抗核抗体1280倍、抗DNA抗体16.5IU/ml、抗セントロメア抗体1280倍、IgG2299mg/dl、IgM246mg/dl、抗ミトコンドリア抗体16.8といずれも陽性、高値であった。肝生検組織では、形質細胞浸潤を伴う高度のinterfacehapatitisと多発性bridging necrosis、慢性非化膿性破壊性胆管炎の所見を示し、原発性胆汁性肝硬変症(PBC)と自己免疫性肝炎(AIH)のオーバーラップ症候群と診断され、抗セントロメア抗体陽性より不全型CREST症候群も合併しているものと考えられた。多発性硬化症とPBCもしくはAIHの合併例については、本邦で過去に1例報告があるのみで、貴重な症例と考えられた。
索引用語 原発性胆汁性肝硬変症, 多発性硬化症