セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研35:

非炎症性虫垂疾患の切除症例の検討

演者 末金 彰(潤和会記念病院外科)
共同演者 樋口  茂輝(潤和会記念病院外科), 根本  学(潤和会記念病院外科), 佛坂  正幸(潤和会記念病院外科), 黒木  直哉(潤和会記念病院外科), 岩村  威志(潤和会記念病院外科)
抄録 虫垂の腫瘍は虫垂切除例の1%、消化管腫瘍の0.5%と非常に稀で治療としては外科切除が基本となっている。今回、2004年10月~2012年12月までに当院で切除し、病理組織学的に確定診断の得られた初発の虫垂疾患117例について臨床病理学的検討を行った。2004年10月~2012年12月までに当院で施行した虫垂手術件数は115件で内訳としては虫垂炎 96例、慢性虫垂炎 9例、虫垂腫瘍 11例(慢性虫垂炎合併5例含む)、残存虫垂炎4例であった。今回は非炎症性虫垂疾患 11例について検討を行った。患者背景は年齢 平均:66.4±8.6歳(54~80歳)、性別 男性:7例(63%)、女性:4例(37%)であった。自覚症状はあり:8例(‘右下腹部痛:5例、下腹部痛、嘔吐:1例、下痢、便秘:1例、腹部膨満 :1例)、なし:3例(CTまたはCSで指摘)であった。手術様式は腹腔鏡下手術:10例(*追加切除1例含む)(虫垂切除術:6例、右側結腸切除術:2例*、虫垂・盲腸切除術:2例)、開腹手術:2例(開腹下盲腸切除術、大網全摘術、両側卵巣切除術:1例、開腹下虫垂切除術: 1例)であった。病理組織像は虫垂粘液嚢腫:2例、慢性虫垂炎:2例、虫垂腺腫:1例、炎症性繊維ポリープ:1例、炎症性腫瘤:1例、虫垂粘液腺癌:2例、虫垂アデノカルチノイド:1例であった。予後について、虫垂腫瘍の再発による死亡は現時点では認めていない。腹膜播種症例については現在化学療法継続中である。 急性虫垂炎疑いで手術し、病理組織診断でアデノカルチノイドと診断され追加切除を行った症例を提示する。症例は60歳代男性、主訴は右下腹部痛と嘔吐であった。2009年10 月某日より下腹部痛が出現し、7、8回嘔吐した。血液検査、腹部CT検査の結果、急性虫垂炎の診断がされ、緊急手術となった。腹腔鏡下虫垂切除術を施行したが病理組織診断の結果アデノカルチノイドであったため追加切除を行った。 今回の症例の検討から急性虫垂炎の身体所見を示す症例の中にも悪性疾患が含まれることからそのことを念頭に置いて診療に望む必要があること、その診断にはCTが有用であると考えた。
索引用語 虫垂腫瘍, 虫垂切除