セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研54:

胆管内乳頭状腫瘍との鑑別に苦慮した大腸癌肝転移の1例

演者 廣島 肇(中津市立中津市民病院外科)
共同演者 上原 英雄(中津市立中津市民病院外科), 岸原 文明(中津市立中津市民病院外科), 三島 泰彦(中津市立中津市民病院外科), 岡田 敏子(中津市立中津市民病院外科), 廣石 和章(中津市立中津市民病院外科), 白水 章夫(中津市立中津市民病院外科), 大場 太郎(中津市立中津市民病院外科), 福山 康朗(中津市立中津市民病院外科), 日高 啓(中津市立中津市民病院放射線科), 池田 正仁(中津市立中津市民病院外科)
抄録 症例は、72歳の女性。2012年6月頃より下血が出現し、精査にてS状結腸癌と診断された。術前の腹部CTにて肝外側区域に20mm大の嚢胞性腫瘤を認めたが、精査にて肝嚢胞と診断した。高位前方切除術・D3郭清を施行し、外来にて経過観察中であった(pSSN0M0)。フォローアップCTにて、同部位の病変は増大傾向と内部に充実成分を認めた。また肝内胆管の拡張も伴っており、胆管内乳頭状腫瘍と診断し2013年1月に腹腔鏡下肝外側区域切除術を施行した。腫瘍は肝外側区域表面に突出しており、周囲臓器への浸潤やリンパ節転移は認めなかった。摘出標本では、内部は充実成分で占められており、液体成分や嚢胞構造は認めなかった。術後病理検索にて、CEA・CK20陽性、CK7陰性でありadenocarcinoma, liver metastasisと診断された。2010年のWHOの改定により、胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm of the bile duct)、胆管粘液腫瘍(biliary mucinous cystic neoplasm)という疾患概念が提唱された。確定診断は困難であり、肝嚢胞として長期間経過観察され腫瘍性病変や増大傾向を認めた時点で治療に至る症例も多いと報告されている。今回、胆管内乳頭状腫瘍との鑑別に苦慮した大腸癌肝転移の1例を経験したので、報告する。
索引用語 肝嚢胞性腫瘍, 転移性肝癌