セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研10:

全身多発転移をきたした未分化多形細胞肉腫の1例

演者 花牟禮 聡美(長崎大学病院消化器内科)
共同演者 卜部 繁俊(長崎大学病院消化器内科), 福田 浩子(長崎大学病院消化器内科), 庄司 寛之(長崎大学病院消化器内科), 橋口 慶一(長崎大学病院消化器内科), 南 ひとみ(長崎大学病院消化器内科), 松島 加代子(長崎大学病院消化器内科), 赤澤 祐子(長崎大学病院消化器内科), 塩澤 健(長崎大学病院消化器内科), 山口 直之(長崎大学病院消化器内科), 大仁田 賢(長崎大学病院消化器内科), 磯本 一(長崎大学病院消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科)
抄録 【緒言】未分化多形細胞肉腫は従来悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma:MFH)と診断されていた疾患群に属する軟部腫瘍である。同疾患は軟部組織悪性腫瘍の中では高頻度とされるが、疾患自体が稀で、腫瘍の一部が内視鏡的に小腸で確認された症例の報告は極めて少ない。今回我々は、多発骨転移に伴う腰痛を契機に診断された未分化多形細胞肉腫の1例を経験したので、文献的考察を加え報告する。【症例】62歳男性【主訴】腰痛 【既往歴】高血圧(50歳頃~)、尿管結石(50歳頃)、大腸ポリープEMR後(58歳)結腸憩室炎【家族歴】母:十二指腸腫瘍【現病歴】201X年10月31日に人間ドックで貧血と便潜血陽性を指摘され同年11月、腰痛を主訴に近医整形外科を受診したところ、腰椎Xpで骨溶解像を認め、MRIで腰椎に腫瘍性病変を認めた。造影CTで空腸壁肥厚と腸管リンパ節腫脹を認め、PET-CTで同部に集積を認め、更に多発骨転移、副腎転移、リンパ節転移が疑われ小腸腫瘍精査加療目的に12月10日当科入院。【経過】小腸ダブルバルーン内視鏡検査にて上部空腸に3/4周を占める潰瘍性病変が認められ性状から非上皮性腫瘍が疑われた。病理組織にて肉腫が強く疑われたが確定には至らなかった。骨折予防目的に左大腿骨腫瘍掻破+骨セメント充填+観血的骨接合術が行われ、腰部骨破壊病変に対してradiationを施行した。小腸病変からの出血コントロール目的に小腸部分切除術施行。骨・小腸病変の病理検査にて、未分化多形細胞肉腫と最終診断した。他施設にてアドリアマイシン単剤療法による化学療法が導入されるも、その後の本人の希望により緩和治療へ移行。新たな小腸病変の出現や、術創部の播種からの出血が認められ、必要に応じて近医で輸血を行いながら在宅緩和治療を行ったが、原疾患進行のため初診翌年7月X日永眠された。【結語】全身多発転移をきたした未分化多形細胞肉腫の1例を経験した。同疾患は頻度が稀であり、確定診断に難渋する場合があるが、治療方針決定と予後改善の観点から正確な病理診断が重要であり、今後更なる症例の集積と検討が望まれる。
索引用語 未分化多形細胞肉腫, 小腸腫瘍