セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研01:化学放射線療法による放射線性肺臓炎を発症した高齢者食道小細胞癌の一例 |
演者 | 田中 貴子(鹿児島大学消化器内科) |
共同演者 | 中澤 潤一(鹿児島大学消化器内科), 川平 正博(鹿児島大学消化器内科), 有馬 志穂(鹿児島大学消化器内科), 椨 恵理子(鹿児島大学消化器内科), 那須 雄一郎(鹿児島大学消化器内科), 上村 修司(鹿児島大学消化器内科), 沼田 正嗣(鹿児島大学光学医療診療部), 森内 昭博(鹿児島大学消化器内科), 藤田 浩(鹿児島大学消化器内科), 船川 慶太(鹿児島大学消化器内科), 宇都 浩文(鹿児島大学消化器内科), 桶谷 真(鹿児島大学消化器内科), 井戸 章雄(鹿児島大学消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】食道小細胞癌は比較的稀な疾患であり、扁平上皮癌に比較して高頻度にリンパ節転移や血行性転移を起こし、予後不良とされている。今回、化学放射線療法を行った高齢者食道小細胞癌を経験したので報告する。【症例】79歳男性。2013年1月に胃部不快感のため近医を受診し、上部消化管内視鏡検査(EGD)にて、胸部下部食道に0-IIb+IIa病変を認めた。生検でneuroendocrine cell carcinomaと診断され、精査加療目的で当科に入院となった。CTにて噴門リンパ節の腫大を認め、EUS-FNAを施行したところ、small cell carcinomaを認め、食道小細胞癌の転移と診断した。cStageIIIと判断し、高齢で、COPDなどの合併症があり、化学放射線療法を選択した。【経過】化学放射線療法は肺小細胞癌に順じ、リンパ節転移を含めた根治照射60Gyに加え、75% doseのCDDP+VP16を2コース併用する予定とした。放射線治療は予定量の60Gyを照射できた。化学療法は発熱性好中球減少症などにより1コースのみ行った。原発巣はEGDにて縮小傾向を認め、CTでも噴門リンパ節は縮小し、PRと判定し、化学療法の追加を行う予定でday56に一時退院となった。day80頃より微熱、呼吸苦が出現したためday88に紹介元の外来受診し、CXPで両肺下肺野優位に網状影を認め、放射線肺炎が疑われ当科に緊急入院となった。CTにて放射線肺炎と診断し、ステロイドパルスを行い、徐々に酸素化は改善し、自宅退院となった。化学療法の再開は困難と判断し、BSCの方針とした。【考察】食道小細胞癌の治療法は確立されていないが、手術不能例であれば化学放射線療法が選択される。一方、高齢者においては、有害事象の出現頻度の増加や重篤化が危惧される。自件例においては、放射線性肺臓炎を併発し、以降の化学療法は断念した。食道小細胞癌の治療方針を考える上で、貴重な症例と考え、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 食道, 小細胞がん |