セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 100:先天性AT3欠損症に対し安全に拡大胆嚢摘出術を施行した一例 |
演者 | 今井 大祐(九州大学消化器・総合外科) |
共同演者 | 調 憲(九州大学消化器・総合外科), 山下 洋市(九州大学消化器・総合外科), 吉住 朋晴(九州大学消化器・総合外科), 池上 徹(九州大学消化器・総合外科), 二宮 瑞樹(九州大学消化器・総合外科), 井口 友宏(九州大学消化器・総合外科), 吉屋 匠平(九州大学消化器・総合外科), 松本 佳大(九州大学消化器・総合外科), 木村 光一(九州大学消化器・総合外科), 中川原 英和(九州大学消化器・総合外科), 別城 悠樹(九州大学消化器・総合外科), 王 歓林(九州大学消化器・総合外科), 川中 博文(九州大学消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学消化器・総合外科) |
抄録 | 【はじめに】先天性AT3欠損症は、常染色体優性の遺伝性疾患であり、我が国では0.18%に認められる。抗血栓作用の低下により血栓症が多発する事が知られ、手術を契機に発症する事も多く、周術期における血栓症の予防が重要である。【症例】症例は70歳代の女性、先天性AT3欠損症の家族歴があり、下肢静脈血栓症と血清AT3低値(39%)を認め、近医にて同症と診断された。精査中の腹部CTにて偶発的に胆嚢腫瘍を指摘され、手術目的に当科紹介となった。術前精査では胆石症の疑いもあったが、胆嚢腫瘍の可能性も否定できず、患者の希望もあり手術の方針となった。手術時、胆嚢壁は肥厚し、内部には2-3mm大の多数の胆石を認めた。腫瘍は底部肝床側に疑われ、pringle法下に(計30分)、肝床部より2cmの周囲肝切除を伴う拡大胆嚢摘出術を施行した(手術時間176分、出血量153g)。術後最終病理組織診断は、慢性炎症性変化を伴う胆嚢腺筋症であった。周術期における血栓予防策として、弾性ストッキング・フットポンプの使用に加え、ヘパリンによる抗凝固療法とAT3製剤による補充療法を行った。入院時よりワーファリンからヘパリン投与へ切り替え,APTT 50-60secを目標に調節した(35.1-60.4sec)。また、術前3日前よりAT3製剤1,500単位の補充療法を行い、AT3活性の回復(61%)を計った。術後1日目ドレーン抜去後よりヘパリンを再開し、術後2日目よりワーファリン内服を再開、PT-INR 1.5-2.0を目標に調節した(1.08-2.91)。 術後明らかな血栓を認めず、経過良好にて術後14日目に退院となった。ワーファリン内服の継続により、術後7ヶ月後も血栓症を認めていない。【まとめ】先天性AT3欠損症を合併した拡大胆嚢摘出術において、周術期のAT3製剤による補充療法と抗凝固療法は、血栓症の予防に有効である。 |
索引用語 | 先天性AT3欠損症, 拡大胆嚢摘出術 |