セッション情報 一般演題

タイトル 056:

大腸原発の管状腺腫内に発生した印環細胞癌の1例

演者 中山 敦史(佐賀大学医学部内科学DELIMITER佐賀大学医学部病因病態科学臨床病態病理学)
共同演者 二尾 健太(佐賀大学医学部内科学), 山口 太輔(佐賀大学医学部内科学), 坂田 資尚(佐賀大学医学部内科学), 下田 良(佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部), 岩切 龍一(佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部), 藤本 一眞(佐賀大学医学部内科学)
抄録 稀な組織型を呈した早期大腸癌を経験したので報告する。症例は40歳代の女性。37歳時に下行結腸癌に対して左半結腸切除及び第3群リンパ節郭清(fStage IIa)、子宮体癌に対して単純子宮全摘及び両側付属器切除(IB期)を受けている。今回、下行結腸癌術後の経過観察目的に下部消化管内視鏡検査を施行したところ、吻合部から10 cmほど口側の横行結腸に15 mm大のLST-NGが認められた。病変には明らかな陥凹面や粘膜の引き連れは伴っておらず、拡大観察を行ったところpit patternはIIIL pitが主体であり、一部にVI pitが見られた。これらの所見より管状腺腫から粘膜内癌を有する腺腫内癌と考え、ESDを施行した。切除標本では、低異型度の管状腺腫を背景として、一部に印環細胞が粘膜固有層内で胞巣状に増殖していた。更に、別の切片では、低異型度の管状腺腫を背景として、粘膜内に高分化管状腺癌の増殖も認められた。以上より、病理組織学的には腺腫内癌であり、印環細胞癌(sig)および高分化管状腺癌(tub1)を伴った所見であった。深達度はpMで、明らかな脈管侵襲は無く切除断端も陰性であったため、治癒切除と考えて経過観察中である。本症例は若年発症の大腸癌と子宮体癌の既往を有することからリンチ症候群に該当する可能性があり、現在ご本人にマイクロサテライト不安定性検査を提案しているところである。大腸の管状腺腫と印環細胞癌が同一病変内に共存している症例は非常に稀であり、ESDによる切除報告はこれまでに無い。今回、数少ない文献をもとに腫瘍の免疫組織化学的検討についても行ったので、合わせて報告する。
索引用語 大腸ESD, 印環細胞癌