セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研52:

画像鑑別が困難であった肝IPNと肝内胆管癌の2例

演者 坂本 圭(熊本総合病院)
共同演者 増田 稔郎(熊本総合病院), 中村 健一(熊本総合病院), 山本 謙一郎(熊本総合病院), 池嶋 聡(熊本総合病院), 倉本 正文(熊本総合病院), 島田 信也(熊本総合病院)
抄録 肝Intraductal papillary neoplasm of the bile duct (IPN) は2010年WHO消化器腫瘍の改訂により、胆道の乳頭型の前癌・早期癌病変として定義された。今回、画像鑑別が困難であった肝IPNの1例、肝内胆管癌の1例を経験した。症例1は80歳男性。前医の腹部エコー、CTで肝腫瘍を指摘され、当科へ紹介された。腫瘍マーカーAFP、CEA、CA19-9は正常であった。CTにて肝外側区域より肝外に突出する径4cm、low densityの腫瘍を認め、B2、B3の胆管拡張を認めた。MRI T1強調ではlow intensity、T2強調ではhigh intensityで、内部に実質構造と思われる部分を認めた。肝IPNを疑い、リンパ節郭清を伴う肝左葉切除術を施行した。切除標本では、嚢胞性腫瘍の内部に乳頭状の増殖を認め、肝IPN (low grade) と診断した。術後1年を経過した現在、無再発で外来フォロー中である。症例2は66歳女性。健診エコーで肝腫瘍を指摘され、当院を受診。腫瘍マーカーCEAは正常で、CA19-9は561 IU/mlと上昇していた。CTにて肝外側区域に径4cm、ややlow densityの腫瘍を認め、B2、B3の胆管拡張を認めた。MRI T1強調ではlow intensity、T2強調ではややhigh intensityで、一部はvery low/very highで、液体と思われる部分を認めた。肝IPNを疑い、リンパ節郭清を伴う肝左葉切除術を施行した。病理診断は低分化型腺癌で、多数の肝内転移を伴う肝内胆管癌と診断した。リンパ節転移は認めなかった。液体と考えられた部分は壊死組織であった。術後1ヶ月を経過し、外来フォロー中である。壊死を伴うような肝内胆管癌と肝IPNとの画像鑑別は困難で、リンパ節郭清を伴う肝切除が必要であると考えられた。
索引用語 肝IPN, 肝内胆管癌