セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研50:

肝動注化学療法が奏効した肝原発腺扁平上皮癌の一例

演者 梶谷 奈央(公立八女総合病院消化器内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院消化器内科), 森田 俊(公立八女総合病院消化器内科), 出口 章広(公立八女総合病院消化器内科), 小野 典之(公立八女総合病院消化器内科), 水上 直久(公立八女総合病院放射線科), 鳥村 拓司(久留米大学消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【はじめに】腺扁平上皮癌は、胃、胆嚢、膵臓などを中心に認められるが、肝原発の腺扁平上皮癌は比較的まれな症例であり、その臨床病理学的特徴も不明な点が多い。今回我々は、閉塞性黄疸をきたした肝原発腺扁平上皮癌に対して、肝動注療法+放射線療法で良好な経過が得られている症例を経験したので報告する。【症例】80歳、女性。2009年6月腹部CTにて肝S5に20mmの結節と、その末梢側の肝内胆管の拡張が認められた。結節は増大傾向にあり、閉塞性黄疸をきたし、2010年3月に近医で肝腫瘍生検を施行され腺扁平上皮癌と診断された。PETなどで精査行うも、その他明らかな原発巣は認めず肝原発腺扁平上皮癌と診断した。減黄目的のため2010年3月前医へ入院となり、PTCD施行、減黄が得られた。今回肝原発腺扁平上皮癌に対する治療目的に2010年4月当院転院となった。血液検査ではHBs-Ag(-)、HCV-Ab(-)、CEA、AFPは陰性であったが、CA19-9:249U/ml、SCC:21.3ng/mlと上昇を認めた。肝機能は良好であるが、胆道系酵素の上昇がみられた。腹部CTでは肝S5に約50mm大の腫瘤性病変を認めた。治療は放射線治療(2.5Gy×20回 total 50Gy)と、並行してSystem-I-2を用いた肝動注化学療法(CDDP30mg+5FU1000mg)をBi-weeklyに施行した。その後2011年3月まで治療継続し、腫瘍の縮小をみとめ、閉塞していた肝内胆管へメタリックステント挿入可能となり、PTCDチューブは抜去した。腫瘍マーカーもCA19-9:17.8U/ml、SCC:0.7ng/mlと正常化し、画像的には腫瘍消失しており2013年7月現在生存中である。【まとめ】肝原発の腺扁平上皮癌は予後不良であり、手術症例でも局所再発やリンパ節転移が多く、長期予後は望めないとされる。本症例では食道癌(扁平上皮癌)に準じ、CDDPと5FUを用いた化学療法を肝動注化学療法と、放射線治療を並行して行い、治療効果が得られた。肝原発腺扁平上皮癌に対して、肝動注療法+放射線治療は有効な可能性がある。
索引用語 肝原発腺扁平上皮癌, 肝動注化学療法