セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研51:

NewFP療法が奏効したび漫型肝内胆管癌の一例

演者 梶谷 祐介(公立八女総合病院消化器内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院消化器内科), 森田 俊(公立八女総合病院消化器内科), 城野 智毅(公立八女総合病院消化器内科), 出口 章広(公立八女総合病院消化器内科), 小野 典之(公立八女総合病院消化器内科), 鳥村 拓司(久留米大学消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【はじめに】New FP療法(NFP)は、進行肝細胞癌に対して有効な肝動注化学療法(HAIC)とされている。肝外転移を伴う場合は全身化学療法が中心と考えられるが、肝内胆管癌(CCC)では有効な薬剤はないと考えられる。今回我々は、転移性骨腫瘍を合併したCCCに対して、放射線治療を併用し、肝内へのNFPが奏効した一例を経験したので報告する。【症例】69歳、男性。2013年5月7日に発熱、腹痛、腰痛のため前医を受診。採血にてCEA、CA19-9の著明な上昇と、造影CTにて肝内に早期にて辺縁が造影される小結節をび漫性に認めた。MRIでは肝内に肝内胆管癌を疑う多発腫瘤影と、腰椎Th9に転移性骨腫瘍を認め、びまん型肝内胆管癌の骨転移と診断された。予後規定因子は肝内病変と考えられ、肝内病変に対する肝動注化学療法と、骨転移腫瘍に対する放射線治療目的で2013年5月13日当院紹介入院となった。入院時CEA:4840ng/ml 、CA19-9:13280U/mlと上昇していた。5月16日リザーバーを留置し、5月20日よりNFPを開始し、入院中3クール施行した。また骨転移に対しては5月16日から6月6日の期間に2.5Gy×16回:40Gyの放射線治療をおこなった。外来ではCDDP20mg+5-FU500mgを7月8日、7月22日に行った。7月22日採血ではCA19-9:59.2U/mlとCA19-9の著明な低下を認めた。またAST:17U/L、ALT:17U/L、ALP:458U/L、γ-GTP:140U/Lと肝胆道系酵素の改善もみられた。CTでは癌部へのリピオドールの集積がみられ、縮小傾向にある。【まとめ】NFPは、脈管侵襲を伴う進行肝細胞癌に対して生存期間中央値は23か月と優れている。今回、び漫性にみられたCCCと思われる症例に対して、リピオドールの集積よく奏効した症例を経験した。CCCに対してもNFPは有効である可能性が示唆された。肝外転移を有していても、肝内病変が予後規定因子の場合、肝動注化学療法で肝内病変をコントロールすることで予後を改善させると考えられる。
索引用語 肝内胆管癌, 肝動注化学療法