セッション情報 一般演題

タイトル 078:

ソラフェニブ併用放射線治療不応の肝細胞癌骨転移に対し骨盤内動注療法を施行した2症例

演者 井本 圭祐(公立八女総合病院消化器内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院消化器内科), 森田 俊(公立八女総合病院消化器内科), 城野 智毅(公立八女総合病院消化器内科), 出口 章広(公立八女総合病院消化器内科), 小野 典之(公立八女総合病院消化器内科), 水上 直久(公立八女総合病院放射線科), 鳥村 拓司(久留米大学消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【はじめに】今回、腸骨転移を伴うHCCにおいて放射線照射を併用したソラフェニブを開始したが、急速に増悪したため骨転移に対して動注療法を行い、奏効した2例を経験したので報告する。【症例1】80歳女性。2003年4月より前医でC型慢性肝炎で経過観察中であった。2007年12月にHCCを指摘され、当科でTACE、RFAで加療を行っていたが、外来経過観察中腫瘍マーカーの急上昇あり、2010年7月に左腸骨、肺の転移が指摘された。ソラフェニブと放射線治療で加療を行ったが、効果はPDでAFP:37720ng/mLと上昇した。歩行も困難となり、ソラフェニブは中止とし、2010年7月内腸骨動脈内簡易リザーバーを留置し、NFP動注療法を2クール後、動脈塞栓を行い腫瘍縮小を認めた。AFPは3130ng/mLと低下し、歩行可能となり退院した。その後も再燃を繰り返し、2010年11月、2011年3月にも同様に治療をおこなった。肝内病変に対しては2010年11月にTACE、肺転移に対して2010年12月よりソラフェニブ内服を再開した。2011年4月に腸管穿孔が見られ、ソラフェニブを中止し、保存的に加療を行った。その後肺転移は急激に悪化し、5月31日他界した。【症例2 】64歳、男性。前医で2004年3月にHCCが指摘され初回治療はRFAが選択された。その後HCC再発、TACEを中心に治療を繰り返したが、頭蓋骨、腸骨に転移が出現し、治療目的に2012年12月当院紹介入院となった。2012年12月から2013年1月の期間、頭蓋骨および腸骨転移部へ放射線治療を施行、頭蓋骨転移は縮小したが、腸骨転移は増大し89mmとなった。ソラフェニブも併用したが、疼痛出現したため内腸骨動脈へ簡易リザーバーを留置し、NFPを行った。疼痛は緩和し、腫瘍径は65mmと縮小した。その後も治療を繰り返し2013年8月生存中である。【まとめ】今回、骨転移を伴うHCCに対して、骨転移に対するNFP動注療法を中心とした治療を行い、腫瘍縮小により疼痛緩和などQOLを改善させることができた。ソラフェニブ不応の進行HCCにおいて、状況に応じて他の治療への変更も検討することが必要と考えられた。
索引用語 転移性骨腫瘍, 動注療法